作品置き場
□Secret
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《哀》
赤い紅い命。
強くしなやかな瞳。
華奢な身体。
貴女の全てが手に入るならどんなことでもいとわない。
貴女の声が魂が、
僕の全てを狂わせる。
別れ際に呟いた次に会ったら敵同士。
だから会いにいけなかった。
僕はなぜこのような人間じみた感情をもちえたのだろう。
本当は貴女の全てを飲み込んで僕だけの貴女にしてしまいたかった。
でも叶えてはならない。
ぼくの一番はあの方だけのはずだから。
壊れはじめた僕はいずれ、貴女の前に現れ…
命を散らす。
二つの思いにゆれて壊れた操り人形だから。
『ゼロスっっ!?』
願わくば貴女の瞳の奥深くに僕を刻んで…
黒い霧となって飛び散った哀れな男が一人。
残された少女はつぶやいて、肩をおとした。
「ばか、ひとの気もしらないで…」
少女の流した雨はいつか男に届くだろうか…