小さな童話

□ある羊飼いの話
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むかしむかし、

まだシリウスとリゲルが一緒だった頃……




一人の羊飼いはただ、同じようにそこにいました


羊飼いはまだ、幼さを残す十代前半の少年でした


少年は、ただそこに同じようにいた




おびえるように

かなしみが宿るように…







「そろそろ、放すか…」


羊飼いはいつものように

羊の世話をしていた


昼には羊を牧場に放し

夜には少し離れたところにある野原で

のんびりと星を眺めていた


羊飼いはこう思った




「僕はなぜ、ここにいるんだろう…?」と







その日、いつものように


野原で星を眺めていた


ふと空を見上げると


ダイヤモンドがまんべんに


ちりばめられたように

数々の星があった




少年は


この時間が


とても好きだった




そんなことを考えていたると




「夜なのに明るい…」


少年は光が指す方向を見上げた




空だった




空の上に光が溢れて


星の光芒が尾をひいている


羊飼いは気付いた






その光が

だんだん自分に

近づいていることに…!




少年は逃げようとした


だが、遅かった









誰もいない野原で


物凄い爆発音のような


音がまわりに響いた


少年は

身を守るように

かがみこんでいた


そして、自分は


無事だということを


体で認識した


・・
それは


少年のだいぶ先に


もくもくと煙をたて


離れて落ちていた




とりあえず

近づいてみることにした


何があってもいいように


覚悟を決めた

    ・・
一歩ずつそれに近づく




何事もなく辿り着いた


崩れた土を少し掘り


そっと土の中をのぞいてみる…




そうしたら


小さな手のひらサイズの古びた箱があった




「これは………?!」



少年はそう言って
箱の中を開いてみることにした




箱のふたを開いてみると


そこには古びた鍵がひとつあった




手に取ってみると

光が溢れだし、羊飼いの体が包まれた




それきり、羊飼いの意識は遠のいた…









いいかい…


君は少しの間、旅に出るんだ


でもね、驚いちゃいけないよ




これが

君の想像とは

違う




空の上の




真実なんだ…









羊飼いは

暗闇の中にいた


「ここは…!?」




羊飼いは飛んでみようと思ったら


その意志に反応して


すぐ飛べるようになった




少年が

暗闇の中を

飛んでみると


前方に物凄く光る何かが見えた




それは、羊飼いが

いつも見ている
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