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□揺るがぬ恋の唄 一
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───2月中旬
府立九重南高校では毎年、2月末から3月中旬ごろにかけて、2年生のみ就職体験研修が行われる。
少女もまた、忙しく決定を待っていた。
「由璃夏、紀っ!」
朝早く、登校してきた少女は2人の親友に挨拶する。
「おっはようっ♪」
「どしたの暁奈? ご機嫌で」
「だねー、気持ち悪いくらいに」
「ひっどーい!;」
頬を軽く膨らます少女。
名は、高本暁奈。
「朝からホント元気よね。
で、どうしたの?」
親友の守山由璃夏が聞く。暁奈はニコッと笑い、よくぞ聞いてくれましたと言った雰囲気で言う。
「あのね、昨日帰りに先輩にパフェ奢ってもらっちゃった♪」
「…………」
「…………」
「え? 何その微妙な反応…;」
「…何て言うかさ、暁奈」
「暁ちゃんてホント、先輩好きだよねぇ…桜が見えるよ」
「ええぇっ!?;」
驚く暁奈をよそに、意見は続いた。
「だって、先輩と会ったらにこにこしてるじゃない?
それに先輩と会えなかったら、暁奈かなりローだし」
「うんうんっ
それに先輩は私たちより仲良しの後輩いないから、間違われる可能性はあると思うよ?」
間違われると言うのは、この場合「恋人に」だ。
「暁奈はいっつも先輩の周りをちょろちょろしてるしねっ」
「ね〜〜〜っ!」
「…違うのになぁ」