特別な魔法



シャドー。シャドー。シャドー。

皆から名前を呼ばれる。皆呼び方は同じ。

だけど君が呼ぶ声だけは違う。何が違うかなんてわからないけど、君の声を絶対に間違えたりしない。




「シャドー」


人が賑わって雑音が煩い場所で不意に名前を呼ばれた気がした。
振り返ってみるが背の低いぼくでは周りが良く見えない。

だけど見えた、感じた。この人混みを越えたところに君がいると。

「ダーク……」

人混みを掻き分けるように進んでいく。
まだ姿は見えない。だけどぼくは確信している。


「ダーク…!」


ぐいと手が引っ張られる。
違う。これじゃない。

ぼくの前に現れたのは、ニヤニヤ笑っている変な人。

「離してっ!」

「遊ぼうぜ、姉ちゃん。一人だろ?」

振り払おうと必死に手をふるが離れてくれない。

「っ、はな「おい」


反対の手が誰かに掴まれる。

これだ…。ぼくが捜していた人の手。


「何やってんだ、てめぇら」

ぼくから顔は見えないが絶対に間違えたりしないその声。その手。
睨み付けたのか変な人は一目散に逃げ帰っていった。

「大丈夫か?」

「うん!……あ、さっき呼んだでしょ?」

「は?あの中聞こえてたか?」

そんな大声出してないけど…とダークは訝しげに言う。ぼくは曖昧に笑って返しておく。
説明なんて出来ないし、自分でもわからないから。

ダークはぼくが説明する気がないとわかったのか、軽く溜め息を吐いていたが

「ほら行くぞ。はぐれんなよ!」

と歩き出した。

その際、手がぎゅっと握られる。
さっきの変な人とは違うこの手。ダークの手。特別な、手。

間違えない。絶対に間違えたりしない。


なんでかなんてわからないけど、敢えていうなら、



(それもぼく限定の)

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相互記念で「空蝶」の瑠樹さまにいただきました!
もうシャドウが可愛すぎておなかいっぱいいっぱいです(´∀`*)むはーvv

瑠樹さま!ありがとうございました!

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