投稿作な部屋
□双色の奇蹟
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その言葉が何を意味していたのか、必死になってカイトを抑えていたサラには、すぐに理解できなかった。
しかしサラの姿が完全に消えた頃、ようやくその言葉が一つの結論へとつながってゆく。
それはつまり、模様を刻まれたくないという気持ちが、シャロンの中にあるということなのだろう。
いつのまにか、カイトは喚くのをやめていた。
示し合わせたわけでもないのに、静寂の中、互いに目配せをする。
確かにシャロンは、石に模様が刻まれることを望んでいないようだ。
しかし、その理由は――?
本人から聞き出すといっても、あれほど上手く感情を隠すような子だ。
そして、口ではパートナーとの証ともいえる模様の刻まれた石を望んでいる。
きっとまた、良いようにはぐらかされてしまうに決まっているだろう。
(結局大した進展はなし……か)
空に浮かぶ雲が掴めないようなもどかしさに支配されながら、サラは途方に暮れた。
今日も一日が終わろうとしている。