投稿作な部屋
□双色の奇蹟
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結果論から言ってしまえば、レイラは何も答えてくれなかった。
先刻までの穏やかさとは打って変わり、獲物を狙う狩人のような目をしたカイトにも動じることなく、レイラはいたって平静。
「あなたたちの問いには答えられないわ」の一点張りで、逆に、問い詰めているカイトの方が見ていて虚しいほどだった。
「どうしても、言えないことなのね」
カイトを抑えながら、努めて冷静にサラは確認を取る。
「シャロンと約束をしたの。私はあの子のパートナーであり、親友なのよ。彼女を裏切るような真似は、絶対にしないわ」
だから、ごめんなさいね。
紫色の瞳をふっと伏せると、レイラの姿はまるで溶けるように、足元から光の粒子へと変わっていった。
それを見ていたカイトはぎゃんぎゃんと大きな声を上げていたが、何を言っていたのかは覚ええいない。
だが、どうせ「逃げんな!」とか、そういったことなのだろう。
身体の半分ほどまで光の粒子に包まれた時、レイラは瞳を伏せたまま、口元にだけ淡い笑みを浮かべる。
「ただ、あなたたちの勘は間違ってはいないわよ。――じゃあね」