投稿作な部屋
□カケラの湖
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高い天井から、人工的な光が浩々と私たちを照らしている。
上段に設置されている観客席は、緊張と歓声とで彩られていた。
赤いロープが高々と投げられると、煌びやかな衣装に身を包んだ選手がアクロバットをしながら、それを器用に足で取る。
大きな歓喜のざわめきが、いたる所で上がった。
曲の終了は演技の終了。
迫力のある堂々とした演技を終えた選手は、あの十三メートル四方の、狭くも広いコートから出て行く。
わたしはそれと入れ替わりに、あのコートの端へゆっくりと、そして自信に満ちながら歩いていった。
「ボール三十二番。聖院高校、木瀬さん」
アナウンスの声が、会場内に大きく響いた。
わたしは一歩前に、進み出る。
あの照らしつける人工的な光が、より一層強くなった気がした。
「はいっ!」
まっすぐに上げた手は、今なら何にでも届くような気がした。
踏み出した足からは、ハーフシューズ越しからでも、あの幾人もの選手たちが踏んできた聖地の緊張感が、伝わってくる。