【 主 菜 】
□29.覇気
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あの男の覇気にやられたのは、1度だけだな。
油断?
油断はしちゃいないさ。
俺の方がまだまだだったって事さァ。
あの頃は俺もまだこの位置にゃいなかった。
今なら有り得ないがな。
*
『若ェ衆は下がってろい。身が持たねェぞい』
何年振りになるか。
あの男が再びこの船に現れた。
親父を訪ねてきたのだそうだ。
ヤツが乗船した瞬間、船の空気が一変した。
ヤツの半端じゃねェ覇気にやられた仲間達がバタバタと倒れていく。
何度も見た光景。
何が起きたのか分からず、動揺する仲間達。
まぁ、ムリもねェ。
『騒ぐな。気ィ失ってるだけだい……』
ビリビリと船が軋む。
利き腕を失したとは言え、この覇気は健在だ。
いや、寧ろ年を重ね益々研ぎ澄まされた感がある。
親父はまだまだひよっこの成り上がりだと笑うが、ヤツに一目置いてるってのは分かる。
海賊王ゴールド・ロジャー。
実際目にした事のねェ俺等からすりゃ、親父に適う男なんざいないと言えるんだがな。
親父はロジャーの話になると懐かしむような目をする。
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