RED MOON

□第四夜・白き都市(前編)
1ページ/21ページ

 


第四夜・白き都市








―「これは、凄いですね」

ここは、レベッカの町。

ナルシアとラッシュが出会った町である。

魔物の大群が襲来し、その魔物を一人のルーカスの子供が全滅させたと軍の中心部に連絡が入った。

その連絡を聞き、軍はある部隊を送りだした。

特殊捜査部隊。

主に、魔物の生態や、魔法等と言った事を捜査、研究し、それを軍に有利な様に利用する部隊だ。

その部隊隊長をしているのは、若干二十五歳の若者だった。

名をクラトスと言い、細身で長身、白い髪と黒い瞳を持つ。

白衣を身に纏い、縁なしの眼鏡を中指で押し上げる仕草はクラトスの癖だ。

周りは、魔物の腕や足が持ち主から離れ転がり、辺り一面血の海で死臭で鼻が曲がりそうである。

さながら地獄絵図だ。

その中をクラトスは涼しい顔で、笑みまで浮かべている。

「隊長!」

爪先で走り寄る部下に、クラトスは視線を向けた。

「やはりこの魔物もそうでした」

「…そうですか…こんな事が出来るのは限られますね」

「ルーカスですか」

「ええ、史実でもありますから」

「では、ルーカスは少なくとも二人は居ると…」

「そうなりますねぇ…ただ、この魔物を殺したルーカスの子供…」
.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ