RED MOON
□第四夜・白き都市(前編)
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第四夜・白き都市
―「これは、凄いですね」
ここは、レベッカの町。
ナルシアとラッシュが出会った町である。
魔物の大群が襲来し、その魔物を一人のルーカスの子供が全滅させたと軍の中心部に連絡が入った。
その連絡を聞き、軍はある部隊を送りだした。
特殊捜査部隊。
主に、魔物の生態や、魔法等と言った事を捜査、研究し、それを軍に有利な様に利用する部隊だ。
その部隊隊長をしているのは、若干二十五歳の若者だった。
名をクラトスと言い、細身で長身、白い髪と黒い瞳を持つ。
白衣を身に纏い、縁なしの眼鏡を中指で押し上げる仕草はクラトスの癖だ。
周りは、魔物の腕や足が持ち主から離れ転がり、辺り一面血の海で死臭で鼻が曲がりそうである。
さながら地獄絵図だ。
その中をクラトスは涼しい顔で、笑みまで浮かべている。
「隊長!」
爪先で走り寄る部下に、クラトスは視線を向けた。
「やはりこの魔物もそうでした」
「…そうですか…こんな事が出来るのは限られますね」
「ルーカスですか」
「ええ、史実でもありますから」
「では、ルーカスは少なくとも二人は居ると…」
「そうなりますねぇ…ただ、この魔物を殺したルーカスの子供…」
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