Dreams Are Lie
□第七章・傷跡
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第七章・傷跡
―母が何かを怒鳴って、騒いでいる。
振り上げた拳に、俺は微動だにせずいた。
殴られるのは、慣れていたし抵抗しても無駄な事だと分かっていた。
それに、母は更に怒り、台所へ消えた後、その手に握られていたのは包丁…
恐怖が背筋を走る。
押し倒され、戸惑いもなく振り降ろされた包丁。
左肩に刃先が刺さる。
母は、満足そうに笑った。
熱さ、痛み、恐怖、何故、何故、何故刺すの?
『あんたが邪魔なのよ!』
―目をあけると、目の前に昴の顔があった。
驚いて、上半身を起こすと昴はバツの悪そうに視線を外した。
「うなされてたから…」
下を見ると、タオルケットがかけられている。
「今日部活はなかったのか?いやに早いな」
少し、気恥ずかしかったから話をずらした。
昴を待っているうちに、どうやら眠ってしまったらしい。
でも…何故今になってあんな夢を見たんだろう…
「いきなり大雨が降ってさ、今日は筋トレで終わったんだ」
「そうか…腹減ったか?減ってんなら作るけど」
あの夢を見たせいか、少し気分が悪い。
「いや、まだいいよ」
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