STRAY CAT

□第四部・契約
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―悪魔と契約すれば、何でも願いが叶う。

だけど、それには代償がいるらしい。

魂を持って行かれ、その魂は悪魔達の餌になる。

だけど、それでも構わない。

この恨み、自分一人ではどうにも出来ないのだから。

あいつらを殺すためなら、僕の身体、僕の魂を全部くれてやる!














―リリスの門前で、シャオはある人物と待ち合わせをしていた。

クラウドとの決着は着いたものの、奪われた遥の魂は依然と行方不明。

クラウドに加担したと見られるアリウスがそれに関わっていると考えられ、シャオは、依頼を受ける代わりにアリウスの一件を任して貰う事になったのだが…

「ご愁傷様」

話しを聞いたエリーから、滅多に受けない同情の視線を受け、シャオは少なからず不安になった。

頼まれた依頼は、拍子抜けする程簡単そうで、胸を撫で下ろしていたのだが…

「どんな奴なんだよ…」

「さーねー。自分の目で確かめなさいよ」

シャオの問いを冷たく返したエリーに、シャオは溜息をついて煙草を口にくわえた。

新米の付き添い。

それが、今回の依頼だ。

だが、素性は疎か名前も教えてもらえずに、門で待つように言い渡された。

もしかして、新米と言いつつもよぼよぼの爺さんなのかもしれない。

若しくは、一言も喋らない無口な奴かもしれないし、直ぐ切れる奴かもしれない。

様々な人物像を思い浮かべては、首を振り、予想が外れてますようにと居もしない神様に寝がってしまう自分に、人間のような事を思ってしまったと苦笑を浮かべた。

「まっ、良い奴だよ」

一人で百面相をしているシャオを哀れに思ったのか、エリーがぽつりと言った。

「ただねー…あいつは馬鹿だから…」

「馬鹿?」

「そっ。世間知らずの正義馬鹿+天然ボケ」

「…何だか更に混乱した」

「会えば分かるさ…ほら、噂をすれば…」

視線を上げたシャオに、小さい人影が走って来る。

段々と大きくなる人影の顔が、欝すらと確認出来た。

ダークブラウンの髪は短く切られ、背は高くがっちりとした体育会系の色黒な身体、その両手、更には背中にも沢山の荷物がぶら下がっていて、見るからに重そうだ。

夜逃げにでも、行くのだろうか…

唖然としているシャオを残し、エリーは、すっと少し門から離れ、目を閉じた。

「すっすんませんっす!」

猛ダッシュでこちらに近付いて来る。

シャオの目前に迫った新米が、左手に掛けた荷物に足を取られた。

「あっ」

「わぁ!?」

避ける間もない。

新米は、シャオに体当たりするように派手にこけた。

体格の良い新米と荷物の下敷きにされ、頭と背中を嫌と言うほど地面にたたき付けられた。

痛いなんてものじゃない。

一瞬、目の前が真っ暗になった。

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