STRAY CAT

□第三部・結末
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―周りがどう思ってるかとか。

自分の行動が正しいかとか。

間違ってるかとか。

そんなの気にしてなんかいられない。

自分のやりたい事やって、正しいと思う事をやって、それで良いじゃないか。

まっ、周りから見たら、自己中だと思われるけど。

でも、半端な気持ちでこの道を選んだ訳じゃない。

誰のせいにも出来ない。

やった事は、全て自分の責任になる。

あんたらもやりたいならやれば良いさ。

だけど、自分の正義を死ぬまで貫く覚悟は、あんたらにあるかな?















―さぁーっと夜風が吹いた。

枯れ葉が足元に絡み付いて、その風によって宙に舞って消える。

辺りを照らす月明かり。

シャオは、人間界に来ていた。

シャオが居る所の前に、花や線香が備えられている。

遥とタスキが殺された場所。

シャオは、片膝を着いて、添えられている花に指先で触れた。

「決着を…着けに行く」

誰に話し掛けるでもなく、シャオは言った。

ここに、タスキの魂も遥の魂も居ないのは知ってはいたが、それでもシャオは良かった。

「必ず、遥の魂は取り返す。だから、まっ安心しろや」

ふわり、と笑い、シャオは立ち上がり、自分を照らす月を見上げた。

今日、夕方頃、遥の家に線香を備えに行った。

人間のやる事には興味がなかったが、遥の母親の事が少し気になっていたから。

玄関を開けた女性は、この前見た時よりも少し痩せていた。

だが、瞳は、死んでは居なかった。

それに安堵し、シャオは頭を下げて、名乗ろうとしたが、それよりも先に女性が弾んだ声で口を開いた。

「シャオ君ね?」

目を瞬かせるシャオに、女性は笑いかけて中に入るように促す。

靴を脱いで、きちんと揃えるとシャオは女性の後を追う。

「何故、僕の名前を?」

仏壇に、線香を添えた後、女性が茶を入れてくれた。

頂きますと茶を飲み、前に座った女性を見てシャオは聞く。

すると、女性は悪戯っぽい笑みを浮かべる。

こうして見れば、成る程遥に似てるな…とシャオは頭の隅で思った。

「ふふ、遥がよく貴方の話しをしてたのよ」

「僕の…ですか?」

「ええ。
凄い綺麗な顔をしてるのに、無茶苦茶やるって。
そうそう、猫を被るのが上手だとも」

自分を見つめる女性に、シャオは苦笑した。

「でも、優しくて、自分の正しいと思った事を真っ直ぐに走る貴方に、あの子は憧れてたわ」

「…憧れてた…んですか」

思いもよらない言葉に、シャオは首を傾げる。

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