RED MOON

□第四夜・白き都市(前編)
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子供のように飛び跳ねながら、ナルシアは言った。

ラッシュは、そのナルシアを見下ろして安堵とも諦めとも言える溜め息をついた。

「とにかく、図書館へ行くぞ?迷子になったら聖堂で待ち合わせな。
ああ、飴とかもらっても付いて行くなよ?」

「行かないもんねー」

「可愛〜い〜!」

舌を出して言い返すナルシアの前に居た女性がいきなり大声を出した。

それに驚いて、ナルシアとラッシュは歩みを止めた。

見たところ十七、八。

紫の髪をおさげに結って、動く度に白い布から元気良く跳ねている。

少年のようなキリッとした髪と同じ色の瞳がナルシアを見下ろしていた。

「君滅茶苦茶可愛いね!飴あげるから一緒に遊ぼ?」

「わ〜い!」

「っておい!こら!」

今にも走り寄って行きそうなナルシアの後ろ襟をラッシュは掴んだ。

「言ってる傍から付いて行くな!チビ!」

「え〜飴〜!」

「ボケ!こんな変な女に騙されんじゃねーよ!」

そのラッシュの言葉に、女の人は心外だとでも言うように膨れっ面をした。

「あんた、女の子に向かって酷い事言うじゃない?」

「下手な男のナンパみてーな事しやがる女を変って言って何が悪い」

「逆ナンよ!」

「お前、ロリコンか?」

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