RED MOON
□第四夜・白き都市(前編)
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近くに落ちていた腕を、クラトスは拾い傷口を眺めた。
「素晴らしい切断面です。目撃証言と現状から、恐らくはそのルーカスは風を操る事が出来るのでしょう」
「し、しかし…ルーカスは魔の力を持つ闇の術師。
天地の力は真逆の性質のため、使える事は出来ないはずですが」
部下の話しを聞き、クラトスは急に笑いだした。
魔物の腕を掴みながら、笑うクラトスに部下は少し怖くなるが、顔には出さなかった。
「面白いですね…久しぶりに楽しい研究が出来そうですよ」
そう言って、クラトスはまた笑いだした。
―見渡せど見渡せど、白い建物が並ぶ。
地面も、人々が着る服も、他の色等なく都市全体が真っ白な結界で囲まれているようだ。
「凄い所だね…」
「何か、目がチカチカしやがるな」
ナルシアとラッシュは、頭から白い布を被っている。
そうじゃないと、中へは入れてくれないという。
何でも、白は神が纏う衣服の色であり、神聖な色だと言うことで、この都市では白以外の色をつける事も、使う事も禁じられていた。
「しかし、凄い聖堂だな」
ラッシュが、白い建物が並ぶ中に一際高く立派な聖堂を顎で差した。
「本当だね!凄い綺麗!」
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