RED MOON

□第二夜・仲間
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両手一杯の酒を持ち、ナルシアは危なかっしく歩みを進める。

「わっわわわ…!」

バランスがうまく取れずに、目的地を通り過ぎてしまい、出入口の方へと近づいていくナルシアをマットと客は笑うだけで助けてくれない。

「ぎゃっ!」

足がつまづき、前のめりに倒れかける。

バランスが崩れ、持っていた酒のジョッキが傾く。

誰もが大惨事を予想したが、それは予想で終わった。

ナルシアも覚悟をしていただけに、意外な展開に驚いた。

どうやら、誰かが支えてくれているようだ。

見上げると、銀色の髪と金色の瞳を持った目つきの鋭い青年だ。

「おいおい、何時からこんなチビを雇うようになったんだよ」

「ラッシュ…ラッシュか!」

マットがカウンターに乗り出して、その青年、ラッシュを驚いたような顔で見ていた。

「おう、久しぶりだな」

「何が久しぶりだ!この馬鹿野郎め!」

怒鳴るマットを涼しい顔で見るラッシュをナルシアは首を傾げて見上げた。

「あっ、酒…運ばなくちゃ」

自分の仕事を思い出し、Uターンをしようとしたが、足がからみ、転びそうになるのをまたラッシュに助けてもらった。

「たっく、とろいチビだなー」

「へへっ。ありがと」

ナルシアは、振り返って笑うとまた歩き出した。
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