━STORY━

□+The Connected Storys+1
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時は夕刻




空は見渡す限り分厚く黒い雲に覆われている



短い間隔でフラッシュと同時に雷が轟き大地には激しい豪雨が降り注ぐ




大地一帯は沢山の木々で生い茂る広大な森林






「アリスーー!!」




若い桃色の女性竜人が雷雨の中、空を翔ながら叫ぶ





その視線の先には紫色のフードコートを羽織った大きな翼を持つ者が飛んでいた




大きな翼を持つ者は右脇に暴れる黄色い女の子の竜人を抱えて桃色の竜人から逃げるように飛んで行く




「お姉ちゃーーん!!」



女の子が桃色の子竜に助けを求め叫ぶ



大翼の者
「やれやれ…騒がしい子達ですね…

…やむを得ませんね、貴方には少し黙っていて貰いますよ?」


落ち着いた口調でそう言うと大翼の者は女の子の額に左手をあて呪文を唱えた



雷雨でその詠唱の声はかき消される中、途端に女の子は大人しくなった…


その様子はまるで死んでしまったかのように力無くだらんと手足を垂れさげて……




桃色竜人
「!?
ちょっと!
アリスに何をしたのよ!!」


大翼の者
「少し大人しくしてあげただけですよ。」




2人の間は7m程から8m、9mとどんどん離されていく…



桃色竜人
「くぅっ…これじゃ追いつけない…!」



大翼の者
「………」
(…私にはもう、これしか無いんです…)



フードに隠れた大翼の者の面持ちは決意と焦りで満ちていた…





その時





耳をつんざくような大きな雷の轟音と共に大翼の者の左の翼に雷が落ちた!



ズドォーンッ!!


桃色竜人
「きゃあッ…!!?」

大翼の者
「ッ…!!?」


桃色竜人はフラッシュで目が見えなくなり、その場に滞空した!



あまりの音の大きさに耳なりが響く…






数秒経ちようやく目が慣れてきて前を見てみると、片翼だけの者は黄色い竜人アリスとは別々に茂みの中に落ちていく…



桃色竜人
「!!

アリス…!!」



桃色竜人は急いでアリスが落ちた茂みへと飛んで行った






草木が鬱蒼と生い茂る中に仰向けに倒れていたアリスを見つけると、桃色竜人はアリスの上半身を起こした



桃色竜人
「アリス…!アリスッ!

しっかりしてアリス…!!」




アリス
「……ん………」




アリスはゆっくりと瞼を開けた



桃色竜人
「アリス…!
よかった…怪我はない?
大丈夫…?」




アリス
「……………」




しかしアリスは桃色竜人を無表情で見つめ返すだけで何も返事を返さない…



桃色竜人
「……アリス…?」




アリス
「………………」






その時アリスは




言葉も




記憶も




感情をも




全てを失った抜け殻と化していたのだった…









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