続編

□第二話 柚流木の真実 八重桜の血
1ページ/9ページ

「あれ?柚流木さんは?」

朝、珍しく早く起きてきた薫が、柚流木のいないことに気づいた。

「柚流木ならば朝早く出かけていったでござるよ」
「何で?」
「さあ?諸事情と言っていたでござるよ」
「そう……」

昨日現れた剣心の元旅仲間。

落ち着いていて、大人の女性を思わせる八重桜柚流木。

真っ直ぐな瞳に整った顔。町を歩いていたら、誰だって目を止める程の美人。

しかし、柚流木のことは、未だよくわからない。

本人がまとっている、不思議な気配。その理由を薫たちは知らなかった……。



第二話 柚流木の真実 八重桜の血
     呪われた運命を背負う者



「よう!」

いつもの様に剣心が朝食の仕度をしていると、狙った様に左之助が現れた。

「左之。今日は早いでござるな」
「まあな。色々聞きてぇことがあんだよ」
「聞きたいことでござるか?」
「おう……」

先程までへらへら笑っていた顔が一変。真剣な面持ちに変わる。

「単刀直入に聞くぞ?」
「ああ」
「あの八重桜柚流木って女は一体何者なんだ?」

一度、時間が止まった様な錯覚が起きる。

剣心と左之助が話している声が聞こえ、弥彦と薫が近付いてきた。

それを知ってか知らずか、剣心は何もなかったかの様に話し始める。

「おろ?左之、お主は気づいていなかったのでござるか?」
「何をだよ?」
「いや、『八重桜』という名を聞いて」
「は?」

意味がわからす間の抜けた声を返す。

「ああ――――――!」
「うるせぇよ薫!!」

何かを考えるそぶりをしていた薫がいきなり大声で叫んだ。

「『八重桜』ってどこかで聞いたことあると思った。『八重桜』って、あの『八重桜』でしょ?」
「何だ嬢ちゃん知ってんのか?」
「有名よ!剣術をたしなむ者なら誰でも知ってるわ!」

目をキラキラさせながら話す薫を見て、剣心は軽く微笑む。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ