☆ロイアイしょうせつ☆

□トラブル
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ロイが執務室で書類を片付けていると、隣の部屋からガタンッと大きな物音が聞こえた。
なんの音か気になるが、たいしたことないだろう、とロイは書類へ再びペンを走らせる。
だが、次第にざわざわと騒がしくなっていく隣の部屋に疑問を持ち始めた。

(何があったんだ…??)

ロイはペンを置いて立ち上がると、壁に耳を押し当てる。
壁に隔てられていて僅かにしか聞こえないが、部下たちが会話をしていることが解った。

“…−ですかっ…中…!”

“…−っかりして…さいっ!”

“−尉!…中尉っ!”


ロイはそこで、ぱっと壁から離れる。
部活たちの妙に焦った声と'中尉'という言葉を確か聞き取った耳にそっと手を被せる。

(中尉に…なにかあったのか!?)


ロイは慌てて部屋を飛び出して、部下たちが仕事をしている隣の部屋の扉に手をかけたとき。
ロイが開く前に内側から勢いよく扉があいたため、急で対処できなかったロイの鼻に扉が激突する。

−ゴンッ


「〜っ…!」

「え、あっ!大佐!すんませんっ」


扉を開けたのはハボックだった。
ロイは鼻頭を押さえながら、涙目で彼を見上げ、睨み付ける。
だが、ひどく焦った顔のハボックに、驚いて瞠目した。


「…何かあったのか??」

「そ、それが!」


ロイが問うと、ハボックは部屋の中を促すように、扉の前から脇にそれた。
ロイが中を伺うと、誰一人席に着いておらず、中尉の席周辺に密集してしゃがみこんでいた。
ロイはいまいち状況が掴めず、頭に?を乗せたままそこに近寄った。


「何があったん…」


ロイはそこで気相を変える。
なんと、部下たちの中心で大切な補佐官が倒れ込んでいたからだ。
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