tale

□哀しい言葉を
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にゃー、にゃー
という音が聞こえる。



しかし猫好きで有名な彼女、砕蜂は見向きもしない。



「…んだよ……猫好きはどこ行ったんだ?」
猫はそう言いながらうなだれた。

「……別に貴様は猫ではない、というかべ、別に猫好きではない…」


猫とは

ジオ=ウェガであった。

「…なぁ…折角なんだし甘えろよ、砕蜂…」

そんな事を言いながら砕蜂を抱きしめるジオ。

砕蜂は彼を殴るのかと思いきや、なんと彼女を抱きしめた腕にそっと手を添えた。

驚いて一瞬目を見開くジオ。

「なんだ今日やけに素直だな」
しかしすぐにニヤリと笑い、彼女の顔を覗き込む。

すると砕蜂は慌てて顔を背けた。




「…今日くらい…」


ぽつり、と砕蜂が言葉を零す。

「あ?」

言葉の意味を図りかね、首を傾げるジオ。


「…今日くらい、甘えたって…罰はあたらんだろう…」

小さく呟いて薄く笑う。



「…ぁ…ああ、そうだぜ…
アンタいつもキリキリ働き過ぎなんだよっ‼疲れてんだなー」




笑いながら戯けて言って、肘で彼女を軽く小突く。
彼女もつられて苦笑した。



考えてもみなかった。

まさか彼女が弱い気持ちを吐き出すとは夢にも思わなかった。

いつも気丈に、冷静に振る舞うその裏で、いつも一人で背負うには重すぎる責任と恐怖と闘っているのだ。

それを再認識したジオは、思った。





俺が支えてやりたい。





立場なんてもう関係ない。


破面だろうが死神だろうが

俺は

この女を支えてやりたい。







「なぁ、俺さ、これからアンタ…いや、砕蜂をずっと…支えてやるよ」




思った事をストレートに口にするジオ。



砕蜂は持ち前の天然を発動しており、頭上にはハテナマークが浮かんでいる。





「……どういう事だ?
現時点でも私はお前にたくさん支えられているぞ?」




まぁ普通ならこんな事は言わんがな、と言うと、初めて見る、花が咲くような美しい可憐な笑みを浮かべた。




ああ、そうか。




「…くくっ、砕蜂、素直になって張り合いなくなったな…」





俺は砕蜂を支えたかったんじゃない。





「なにを言う‼女は素直な方が良いと言うではないか‼」



彼女に







彼女に



愛されたかったんだ。







言ってしまおう。
楽になる。



軽い気持ちで口を


開いてしまった。




「…砕蜂、俺は砕蜂が…」
「やめろ」


砕蜂の凛とした声がよく響いた。

すぐ砕蜂は立ち上がり、ジオに背を向け歩き出した。




「…無理なんだ、無理なんだ」




半ば自分に言い聞かせるように言いながら歩くと一瞬振り向き、笑った。




さっきとは違う、
悲哀に満ちた笑顔。

見ていて胸が痛くなった。






「……違いすぎるのだ」



それは


その音は


少し強い風に揺らぎ


微妙な余韻を残して


彼女と共に消えた。
























懺悔


ジオさん可哀想すぎる
ごめんね…ごめんねジオ君…

悲恋を書きたかったのだよ…


皆様ごめんなさいm(_ _)m



二人のその後は

想像にお任せすると思いますが、

もしかしたら続編書くかもしれません…!笑

ありがとうございました^ ^

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