tale

□cats
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他の隊に比べ非常に隊舎が立派な二番隊。

その隊首室に入ろうとした大前田に聞こえたのは

知らぬ男の声だった。


なんと言っているかは聞き取れないが

時折聞こえる砕蜂の声に拒否の色は感じられない。


「・・・邪魔したらフルボッコだよな・・・」


大前田は小さく呟き、ため息をつくと隊首室から離れていった。






「なぁ、砕蜂」
「・・・・・・なんだ」
「好き」
「・・・だからなんだ」

拒否の色がないと判断した大前田がったが、大アリだった。

砕蜂はもはや呆れてかまってやるのも面倒なようで

黙々と仕事をこなしている。



「お前はどうなんだよーーーーなーーー」


長い三つ編みをした小柄な男、

ジオウェガはしつこくきく。


「・・・くどい!消えろ!」

砕蜂は声を荒げた。




が、なおも彼のアピールは続く。


「じゃあこうする」

一瞬で距離を詰めるジオ。


今は砕蜂の肩に寄りかかっている。

「貴様・・・ッ・・・」

砕蜂が仕事の手を止めキッと彼を睨む。


「怖くねぇな」

それを軽く鼻で笑ったジオ。


砕蜂はついに机をバン!と叩いて勢いよく立ち上がった。

ちょっとビビって、背中をそらすジオ。

「なんなのだ貴様!!いい加減に・・・・・・」


突然言葉の途中でジオが軽く頬にキスをした。


途端、砕蜂は顔をゆでだこより赤くして硬直した。


「はは、案外ウブなんだな」


けらけら笑うジオ。

「き・・・さまァッ!!!!!!!!!!」

真っ赤な顔のまま殴りかかる砕蜂だが、

頭に血が上っていたせいか、体勢が悪かったせいか、若干バランスを崩した。

ジオはそれを見逃さなかった。

「もらったな」

と言い、あっという間に砕蜂の懐に入り込む。
砕蜂はジオに抱きつく形となった。

「!!!!!!!はな」

「やだ」

「離せ、莫迦がっ!!!」

「あはは、絶対ヤダ」



言葉とは裏腹に

砕蜂は久々に人の温もりを感じ、少し落ち着いていた。

・・・・・・抱きしめられるのも、悪くないな。


そう思った矢先、ジオが声をかける。

「おい、砕蜂」

「・・・・・・なんだ」

「俺は、あんたが、好きだ。」

「そうか」

ふ、と砕蜂は小さく笑った。


ジオはなんだ?と聞いてきたが砕蜂は答えなかった。



貴重なぬくもりをかみしめた後、


「・・・・・・そろそろ離さんと殺す」

砕蜂は若干の名残惜しさを隠して雀蜂に手をかけ、低く呟いた。


「・・・しゃぁねぇな」

ジオが回していた手を解き体が自由になった。






そして砕蜂はポツリと呟いた。

「まぁ・・・私も貴様が・・・嫌いでは・・・ないぞ・・・・・」


ジオが驚いて砕蜂の顔を見ると

俯いたその顔は耳の端まできれいに真っ赤だった。

「顔赤すぎw」



ジオは苦笑しながら言い、砕蜂をまた、優しく抱きしめた。
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