夢小説〜鬼灯の冷徹(LONG)〜

□昔々、鶴の話
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で、仙人様を天国に送り届けた後になんとなく中国から東に向かって飛んでいたのですが途中で疲れちゃって適当な所に降りたんです。
まあ、それがこの日本だったんですけど。
降りたは良いものの冬の日本ですからね、食べ物もありませんよ。
あ、なんですか。
この時私は御仏の力で完全な鶴の妖怪でしたよ。
妖怪でしたけどお腹は空きますし、疲労感だってありますよ。
それで、雪の中をご飯求めて歩いていたら木の実を発見しました。
まあ、空腹時でしたから飛びつきましたね、文字通り。
点々と落ちている木の実を食べていたら罠に嵌っちゃいまして。
どうする事もできないし困ったので取り敢えず助けを呼びました。
頑張って鳴き続けるんですけど流石は真冬の日本、人っ子一人居ませんでしたよ。
あれは鳴き続けて二日目でしたっけ。
だいぶ力もなくなってきたところに運良くお爺様が来てくださりまして。
罠を解いてもらい、自由になった私はまた空腹ですから今度は罠がかかっていない木の実を探して食べてました。
一息つくと助けてもらったお爺様になにか恩返しをせねばならないと思い、何が出来るかを考えて考えて考え抜いた結果、人に化けて恩返しをするというのを思いつきました。
そこで、また御仏に助けてもらったのです。
人に化ける交換条件は恩返しをするお爺様とその奥様に私の正体を知られてはならないというものでした。
お爺様に恩返しが出来るのならそんなものは安い条件だと思い、私は人に化けお爺様の家を訪ねました。
理由は何でしたっけ。
まあ取り敢えず何か最もらしい理由をつけてお爺様の家に住まわせてもらったのですよ。
最初は身の回りの世話だけだったのですがこれだけではあの恩はお返しできないと思ったのでまた色々考えたのです。
私なら何が出来るかって考えたら糸があれば自分の妖力を込めた羽を使って綺麗な反物が出来るんじゃないかなと思いついたのです。
この時は自分の羽しか上手く妖力の込められなかったのでこの発想が最大でしたね。
そしてお爺様から糸を貰うと、あの有名な「決して中を覗かないでください」という言葉を残して部屋に篭りました。
取り敢えず織り始めてみたのですが私が思うよりずっと綺麗に出来まして。
正直かなり驚きましたよ、こんなに綺麗にできるものなんだなって自分で思ってしまうくらいですから。
さて、思ったよりも集中してしまい三日三晩があっという間に過ぎてしまったのです。
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