夢小説〜銀魂(LONG)〜

□第九訓
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「こんばんわ」
「あ?こんな時間にデリバリーを頼んだ覚えはねえぞ」

ホテルの一室。
扉を開けた男はカタギと呼ぶにはおよそ無理があるような奴だった。
真夜中に来た来客は背丈の小さな女。
だからだろうか。
全くをもって警戒していなかった。

「おい、なんとか言ったら」

ひゅっという音と共に男の喉は切られた。
死にはしないが声は出ない。
がふっと苦しそうに息を吸う男を玄関に静かに倒し、玄関扉を閉め鍵もかける。
まだまだ広い一室のようで奥にも部屋があるようだ。

「この先にボスは居んのか?」

イエスもノーも言わない男。
ふん、面白い。

「なあ、声が出ないという事はいくら拷問をしたって気付かれないっつーことなんだが?」
「!?!?」

恐れを感じたのか一歩下がろうとする男。
女はさせまいと男の腹の上に腰を下ろす。

「ほうら、どうすんだ?なあ?吐けば楽になれるぜ?気持ちよくしてやんぜ?」

青ざめる男はゆっくりと奥を指差した。
嬉しそうに目を細め、機嫌を良くした女は男からスッと離れる。

「ありがと。今、楽にしてやるよ」

いつ抜かれたのかわからないその真紅の刀に男は見惚れていた。
そして、気が付けば男の人生は終わっていた。

「さあて、さっさと終わりにして帰ろかな」

ぶんと刀を振り、血を払う。
ゆらりと揺れる女は返り血一つ付けず部屋の中にいた者を斬っていった。
最後に残るボスを見下げ、懇願する命を絶った。

「さて、帰ろうっと」

刀をしまい、部屋に入ったのと同じ格好で出て行った。
汚れの一つも付けずに。
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