夢小説〜銀魂(LONG)〜

□第五訓
2ページ/5ページ


食堂の戸を開けるとさすがお昼時。
たくさんの隊士がごった返していた。
まあたぶん、これでも少ない方なのかもしれないが。

「あらー?総悟くん彼女ー?」

食堂のお姉様(おばさま)たちの反応はなかなか早かった。
沖田の後ろでちょこちょこ歩いているのがすぐにばれてしまうほどに。
自負したくはないけど身長は小さいからばれない自信があったのだが…。

「玉藻さんが彼女とかあり得ねェですよお滝さん」
「おいこら、確かにそういう関係に見られたくはないがそうもバッサリ切り捨てられるのもなかなかくるぞ」

若干ながらグサリと刺さったのは事実。
ニヤリと口元を歪ませ笑う沖田。
何あいつ、超邪悪じゃん。

「そうですかィ。ざまあみろィ」
「このクソガキ。沈めんぞ」

またバチバチと火花を散らし始める二人。
遠巻きに隊士たちはここで喧嘩しないでくれと心から願った。

「まあまあ怒らない怒らない。総悟くんは何食べる?」
「あ、カツ丼で」
「お嬢ちゃんは?」
「あ、オススメのものください」
「じゃあ唐揚げ定食食べてって下さいな」

隊士たちの願いは叶い、お滝さんの助けもあって喧嘩は収まった。
そして普通にご飯を頼んでしまってから気付いたのだが。

「あれ?あたしこれ、昼飯代どうすりゃいいんだ?」

これじゃタダ飯だ。
しかもあたしら一般市民が汗水垂らして稼いだ金を使う税金泥棒のとこでのタダ飯だ。
なんか嫌だ、何故か知らないけど。

「あー、じゃあ貰っときましょうか?」
「お願いして良いですかい?お姉さん。おいくらです?」
「あらやだお姉さんだなんて」

お滝さんは赤くなった顔を隠すように手をぱたぱた動かす。
お茶目で可愛らしい方だった。

「んもう、お代なんていらないって言いたいところだけどそれじゃ気が済まないわよね?」
「ええ、いただけるのは嬉しいですけどやっぱり」
「んー…500円でいいわよ。ワンコイン定食って事にしておきましょう」
「はい、じゃあこれで」

着物の裾から財布を取り出し500円玉を渡す。
お滝さんはなんだか変な感じねえと笑うと沖田にカツ丼、あたしに唐揚げ定食を渡した。

「ありがとうございます」
「いいえー。ゆっくり食べてってねえ」

沖田の後ろについて歩きながらお滝さんに手を振る。
お滝さんも振り返してくれた。

「ほらなに呑気にしてんですかィ?飯ですぜ」
「わーってるって」

適当な端っこの席に座ると目の前に沖田も座った。
なんで目の前?
いや隣も嫌なんだけど。

「さて、せっかくあったけェのなんですからさっさと食いやしょうぜ」
「はいはい。いただきまーす」

割り箸を割って手を合わせると二人ともご飯を食べ始めたのだった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ