夢小説〜short詰め合わせ〜

□嫌いから好きに
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「海だー!」

そう。
私達は今、浜辺にいる。
結局、海にいる。

「奈鶴っち!海ッスよ!」
「知ってるし、見えてるし」
「反応うすっ」
「ガングロはいいよなー。それ以上ガングロにならないから」
「おい、こら奈鶴。てめえ喧嘩売ってんのか?ああん?」
「事実じゃん。」
「日焼けなど人智を尽くしている俺には無縁なのだよ。なにせ今日のおは朝の占いは」
「黙れ緑間」
「奈鶴ちん怖いしー。やだやだ、暫く近付かないしー」

「浮かれている暇はないぞ、お前ら。」

ざっ
という効果音を引き連れ、目の前に征ちゃんが立った。
浮かれているのはどっちだ。
しっかり麦わら帽子と浮き輪を装備しているくせに。

「不服か?奈鶴。」
「一番浮かれている征ちゃんに、浮かれるなって言われたら誰だって不服だと思いまーす」
「ちょっ!?奈鶴ちゃんなにいってるの!」
「だってさつきだってそう思うで…」

振り向いたさつきは完全に浮かれモードだった。
どいつもこいつも海如きに浮かれやがって。

「おいどうした、奈鶴」

すうっと限界まで息を吸い込み、大きな声で叫べるように口の横に手を添える。
そして吸い込んだ息を吐き出しながら俺は叫んだ。
いま持て余してる体力を全て使い切るように。
たった一言を。

「海なんて大嫌いだああああああああああっ!!」
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