夢小説〜short詰め合わせ〜

□片思いは…
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「ねえ、部活行かなくても良いの?」
「あー……行かなきゃダメ?」

紫原くんはバスケット部に所属しているけどバスケットが嫌いらしい。
あんなのの何が面白いんだしって文句を言っていたのを思い出す。

「紫原くん、行ってきなよ。そしたら私も一緒に行って練習見てるから。」
「本当?!」
「ほんとほんと。ね、一緒に行こう?」

嬉しそうに笑う紫原くん。
でも私と違って紫原くんはきっと私の事を、ただの女友達、としか見てないんだろうな。


★★★★


体育館で彼の練習を見ながらスケッチブックとペンを出す。
私は絵を描くのが好きだ。
紫原くんの次の次くらいに好き。
当然、紫原くんは一位だけど。
彼の動きを見て、記憶して、絵を描いて、形として残す。
私が幸せを感じる時間。

「わあ!凄いね!」

後ろからいきなり声をかけられた。
驚いてシャーペンの芯を折ってしまった。
折れた芯がおでこにヒットし少し痛い思いをしつつ後ろを振り向くと桃色の髪の女の子が私のスケッチブックを興味津々に覗いていた。

「……っ!?」
「あれ?驚かせちゃった?」

驚きよりも恥ずかしさでいっぱいになった。
慌ててスケッチブックを隠し、顔も俯かせる。
きっと今、耳まで真っ赤だ。
なにせこのスケッチブック、紫原くんしか描いてないのだから見られた時の恥ずかしさは通常の倍以上。
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