夢小説〜鬼灯の冷徹(LONG)〜

□薬は用法容量を守って飲め
1ページ/9ページ


とある日の昼下がり。
鬼灯様と一緒に薬材を貰いに極楽満月へ向かって仙桃園の中を歩いていた。

「久しぶりだなー。この匂い」
「そうですか?貴方は月に一度くらい来てますでしょう」

不思議そうに私をみて首を傾げる鬼灯様。

「でも毎日居た頃に比べるとなんだか久しぶりって思うんですよね」
「そうですか…」

よく理解できなかったのか鬼灯様は特に何もなかったように前を向いた。
しばらく歩いていると極楽満月が見えてきた。
そしてかわいいうさぎさん達が出迎えてくれた。

「きゃー♡久しぶりだねみんな!もうこんなにおっきくなって薬草食べるのも程々にね」

うさぎさん達を撫でながらペラペラと喋る私。
普通の人からするとただの変な人だ。

「んーかわいいっ」

一匹を抱きしめると嬉しそうに鳴いてくれた。
そうしてじゃれていると極楽満月のドアが倒れてきた。
大きな音と共に砂埃が立つ。
倒れたドアの上には白澤様が伸びていた。
どうやらこの堕獣、また破綻したらしい。
極楽満月の中からは怒った女性が出ていこうとしていたので、ありがとうございましたとつい、いつもの癖で言ってしまった。
すると女性は私の目の前に立つと訝しむように聞いてきた。

「アナタここの従業員なの?それとも白澤様のこ、恋人なの?」
「はい??」

恋人、という言葉は慣れていないようで頬を赤らめながら聞いてきた。
どうやら大変ウブな方らしい。

「白澤様は私の事を遊びだって言ったわ。このクソ野郎はそんなこと言っているけどきっと本命の子が居ると思うの」
「はあ…」
「それで、白澤様の身近の女性だと踏んだの。だから貴方がそうなんじゃないのかしらと思ったのよ」
「そうですか…」

ふふんと自慢げに推理を説明してくれる女性には申し訳ないがそれはないと否定する。

「私、こんな甲斐性のない男と付き合うくらいなら此方の方と付き合います」

といい、横でうさぎさんと戯れている鬼灯様を指す。
驚く鬼灯様と女性。
そして伸びていた白澤様が突然起きた。

「嘘でしょ奈鶴ちゃん?!こんな朴念仁がいいの!?」
「甲斐性のない白澤様よりマシです。ワーカーホリック気味なのが玉に瑕ですけど」

絶対に認めないぞと叫ぶと私の腰に手をやり太腿に顔を埋めてきた。
何こいつ、このまま窒息死させてやろうか。

「やっぱり。白澤様はこの女が本命なのね!?どうなのよ!」
「もうなんでもいいよぉでも奈鶴ちゃんは絶対に渡さないから」
「話聞いてない!!」

憤慨した女性はそのまま出ていった。
この神獣は本当にクソ野郎だという事がよく分かった。

「ねえ奈鶴ちゃんー今からでもいいから帰ってきてよぉ」
「情けない声出さないでください。貴方には桃太郎さんという強い味方が居るでしょ」
「やだー奈鶴ちゃんがいいのー」
「いい加減にしなさい。それからいつまで私の太腿に顔を埋めてるんです。そのまま永眠させますよ」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!頭蓋骨!ピキピキ鳴ってるよ!?奈鶴ちゃんんんんん」

頭を鷲掴み、ぐっと力を入れるとどうやら白澤様の頭蓋骨が悲鳴を上げたようだ。
そのまま横にポイと投げると1mぐらいゴロゴロと転がっていった。

「大丈夫ですか?奈鶴さん」
「はい。すみません鬼灯様。引き合いに出してしまって」
「いえ、全然問題ないです」

内心嬉しかったと思う鬼灯の事は露知らず奈鶴は立ち上がり部屋の中に入っていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ