夢小説〜short詰め合わせ〜
□迷わないから。
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待ちに待った夏祭りの日。
長かったというか、あっという間というか…。
複雑な心境で今日になってしまったわけですが、私、奈鶴ちゃんは目一杯オシャレして紫原くんに会いに行きます!
「でも、何を着て行けば良いんだろう〜!!」
お昼を過ぎ、現在は3:30。
待ち合わせまであと3時間。
★★★★★
今日は夏祭り。
モデルのバイトが入ってしまったせいで夏祭りに余裕で遅れる。
「なんてツイてないんスかオレは…」
ため息をつきながら控え室で出番を待つ。
ぼけーっと自分を写した鏡とにらめっこをしていると携帯が鳴った。
こんな時に誰スか…。
と、思いつつ携帯を見ると奈鶴っちからだった。
ドキリと胸が跳ねた。
恐る恐る着信に出る。
「も、もしもし?」
「あ!繋がった!良かった〜繋がらなかったらどうしようかと思ったよ〜」
「どうしたんスか、いきなり」
通話口の向こうでホッとした声を出す奈鶴っち。
心拍数が一気に上がった気がした。
「あのね、夏祭りって何着て行けば良いのかな…?」
「は?」
予想外といえば予想外な言葉が紡がれた。
夏祭りに何着て行けば良いか?
それはまあ、ど定番だけども、
「無難に浴衣じゃないスか?当たり障りないし、普段見れない奈鶴っちの浴衣姿でお色気作戦…とか?」
「なるほど!!浴衣か!」
お色気作戦にはツッコミを入れてくれなかった。
奈鶴っちは浴衣に感心してバカの一つ覚えみたいに繰り返していた。
「いいッスね〜。オレはまだバイト中だから部活のメンバーと回れないんスよ」
「え、そうなの?電話なんか出ちゃって大丈夫なの?」
「平気ッスよ。待機中スから」
「そ、そうなんだ」
申し訳なさそうに静かになる奈鶴っち。
ほんとに可愛いなあ。
そう思うとまた胸がズキリと痛んだ。