夢小説〜short詰め合わせ〜

□ドSコートにご注意を
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蝉のなく昼下がり。
太陽の下で汗を流しながら男女は睨み合っていた。

「俺とのデートが嫌だなんてどういう事でィ?奈鶴」
「そのまんまの意味じゃボケ。なんで首輪なんかしなきゃダメなのよ、脳味噌腐ってんじゃないの?」
「なんでィ?俺の事そんなに嫌いんですかィ?」

男の右手には鎖の付いた首輪が握られていた。
女はそれを警戒しながらジリジリと男から距離をとっていた。

「ていうか馴れ馴れしく私の名前を呼ぶな!その小さな口にそのお粗末なモノぶち込むわよ?」
「そいつァ物理的に無理でさァ。生憎俺の身体はそんなに柔らかく出来てねェんで」
「誰が身体を曲げてぶち込むなんて言ったのよ。切り取って入れてあげるから安心しなさい?」

女は小刀を懐から取り出した。
男の方は少しギョッとしたようだ。
首輪を持つ手が湿っぽくなっていた。

「ていうかソレ、俺のやった小刀じゃねェですか。大切にして欲しいもんでさァ」
「大切にしてやってるわよ。だからお前にしか使わないつもりよ」
「あっれェ?俺の耳がおかしくなったんですかィ?どう考えても大切の意味取り違えてねェですか?」
「あんたの耳がおかしいのはいつものことでしょ。脳味噌どころか耳も目も腐ってるんだから手の施し様がないわ」
「そろそろ俺の心が折れそうでさァ…」

男はうな垂れた。
どうやらHPがゼロになってしまったらしい。
死んでしまうとは田舎者め。

「首輪を繋がれるのはあんたじゃない?ほら、自分で付けなさいよ。それとも私に付けてほしいのかしら?新撰組切り込み隊長さん?」
「ぐ……!!」
「その眉をよせて歯を食いしばって悔しそうに歪めた顔は中々可愛いから虐めたくなっちゃうのよね。ていうか、切り込み隊長さんはか弱い女の子に切り込まれちゃってるけどなにそれ面子丸潰れも良いとこよね、うふふふふ」

女はなかなかのドSであった。
そして男もドSであった。
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