夢小説〜short詰め合わせ〜

□嫌いじゃない。
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俺だって女の子みたいに可愛くか弱く、恋をしてみたい。
だけどこんな俺なんて誰も相手してくれない。
してくれたとしてもそれは友達以上恋人未満の関係だ。
男勝りで男より強いなんて。
現に幼馴染の征ちゃんがその状態だ。
ま、征ちゃんに期待なんてしない。

「奈鶴。」
「んー?なに征ちゃん」
「いい加減その呼び方やめろと言っているだろう…」
「えー。結構気に入ってるんだけど、このあだ名。」

征ちゃんに誘われ帝光中男子バスケット部のマネージャーをやっている。
今は休憩してる征ちゃんのお手伝い中。肩揉みだけど。
正直、バスケはもうやりたくないし見たくもないと思っていたんだけど…。

「絶対にわざとじゃん…」
「何か言ったか?奈鶴」
「いえいえ、何でもございませんよー。」

にっこりスマイルで隠す。
昔はバスケ、大好きだった。
たくさん練習して、みんなに頼られるくらい強くなった。
でもある時から面白くなくなった。
強くなり過ぎだ、そう言われてみんなが俺の相手をしてくれなかった。

「努力は実を結ぶ…かぁ。なあ征ちゃん。征ちゃんはどう思う?」
「何の話をしているんだ…」
「いや、努力すればその先に必ず良い事があるって、それってどうなんだろうって。」
「またその話か。それは人によりけりだ。奈鶴だってもうわかっているんだろ?」
「んまー、そーなんだけどなー。なんかしっくりこねえっていうかムズムズすんだよな。」

努力は実を結ぶ。
俺が一番嫌いな言葉だ。
それと同じくらいバスケは嫌いだ。
…バスケなんて、大嫌いだ。
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