夢小説〜short詰め合わせ〜

□片思いは…
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「おーい。奈鶴ちんー」

遠くから聞き覚えのある声が私を呼んだ。
その声の主は見かけによらず子供っぽく、お菓子をよく食べているのを見かける。
私の大好きな男の子だ。

「紫原くん」

ただ単純に、声をかけてくれたことが嬉しかった。
大きな彼と私は小学校からの付き合いだ。
まさか中学校が一緒になるなんて思ってもなかったけど、家が近いから別に普通なのかな、とか思ったりもする。
紫原くんはまいう棒を齧りながら歩いて来た。

「あ、また食べながら歩いてる。ダメだよ紫原くん。」
「えー。大丈夫だしー。じゃあ聞くけど奈鶴ちん。何がダメなの?」
「食べカスが床にこぼれる。人にぶつかった時に危ない。」
「そんだけなら大丈夫。」

にへらと笑う彼。
ついつい天使のような笑みで全部許しそうになる。
ってダメダメ。
そこで許しちゃったらいつもと一緒。
今日こそやめさせないと。

「せっかく掃除したのに紫原くんが食べカスこぼしちゃ意味ないじゃない。」
「知らないし。んん?この新作は美味いぞー。奈鶴ちんも食べる?」

食べかけのまいう棒を私に渡す紫原くん。
いや、それはちょっと。
か、かかか間接キスになっちゃうし…。
大丈夫、と言って紫原くんに返す。

「美味しいのに食べないのー?」
「うん。後で自分で買って食べるよ。」
「別に食べても良いのに。」

唇を尖らせ、拗ねたフリをする。
そんな表情も好き。
そして、まいっかと言いまたお菓子を食べ始める君が好き。
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