Another Side

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「もう帰ってしまうのか?」


「もっと居てもいいんだよ?」


「いえ…お言葉に甘えるわけにはいきません。
それに…私がいるせいで歴史が変わってしまうかもしれません。
秀吉様が作り上げた歴史を変えてしまうのは嫌ですっ…!
本当は恩返ししてから帰りたかったのですが…
このままいると気持ち的に帰れなくなってしまいそうなので…
感謝の気持ちを伝えに来ました。」


あー、やば。泣きそう。


「今まで本当にっ…ぐす…ありがと、ございましたっ…!!」


私は三つ指をつけて深く頭を下げた。


「やめてよ美桜!
私達はお礼を言われるようなことは何もしてないよ?
顔を上げて?ね、お前様!」


「そうじゃ!美桜、顔を上げろ!
わしらは当然のことをしただけじゃ!」


その優しい言葉にますます涙が止まらなくなる。


「い、いえ…上げません!
このようなことを当然のようにするなんて…ぐす…お二人共…本当に、お優しいのですねっ…」


「ほ、ほれ!泣くな美桜!
可愛い顔が台無しじゃぞ!?」


二人は本当にいい夫婦だ。

秀吉様は子供みたいに泣く私をあやしてくれたし、おねね様はずっと私の背中をさすってくれた。

ようやく泣き止んだ私だけど、きっと酷い顔だったんだろうな。

鼻も詰まって話しにくい。


「あ、あと…この話は誰にも言わないでもらえませんか?」


「ええけど…言わないで行ってしまうんか?」


「みんなに言うと決心が鈍りそうなんです。あはは…」


「そうか…わかった!
美桜、元気でな!」


「何かあったら帰ってきてもいいんだよ?」


「ふふっ…
二人共、最後までありがとうございました!」


私はそう言って秀吉様の部屋を出た。

でも、この話が聞かれていたとは知らなかった。
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