Another Side
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「うっわー!切ねぇな、その話!」
「お前がこんな話ができるとは…」
とそれぞれの感想を述べた正則と清正。
「切ないけど綺麗なお話でしょ?」
私は自分を人魚姫に見立てて話した。
私は姫なんて綺麗なもんじゃないけど。
「人魚姫が王子様を刺さなかったのは
きっと、王子様を殺して海に帰っても海には人魚姫が心から好きになれる王子様はどこにもいないからだよ」
今なら人魚姫の気持ちがわかるかもしれない。
幼いころは王子様を殺してしまえばいいのに…と思っていたけど…
人魚姫にとっての王子様は彼だけなんだね。
私の王子様もここにしかいない…
こんなに自己中でナルシストで高慢で優しい王子様なんて…
世界中どこを探してもここにしかいない…
神ってのは時に残酷だ。
気付く前に帰ってしまえば良かった。
自分の心の奥底にある気持ちに。
この気持ちに名前を付けるなら…“恋心”
「安心しろ。
美桜は人魚姫とは全く似とらん」
そう言ったのは三成だった。
「なぜなら、お前は人魚姫のように美しくないからだ!」
「うっわ〜!ウザイわ!
私が人魚姫だったら真っ先に三成殺すわ!」
「フンッ、貴様の腕では刃が立たぬ。」
そうだよ。
私なんかに簡単に殺されるような王子様じゃなかった。
そんな弱っちい王子様なんてこっちから願い下げだ!