Another Side

□17
1ページ/4ページ




昔々、海には大変美しい人魚姫がいました。


人魚姫はある国の王子様に恋をします。


それは叶うことのない恋…


人魚姫と王子様では、住むべき場所が違うのです。


人魚姫は海の中から地上を見上げ願います。


ー私にも足があればいいのに…


それを聞いていた魔女はこんな話を持ちかけました。


ーお前さんの声と引き換えに足をやろう。


ようやく足を手に入れた人魚姫はさっそく地上へ上がり、王子様に会いに行きました。


しかし、声をかけることはできません。


一歩歩く度に足には何かに刺されたような激痛が走り、血が滴ります。


人魚姫はみるみるうちに弱っていきました。


人魚姫の姉達は言います。


ーこのナイフで王子の心臓を貫け。


ーその血液を浴びれば元に戻れる。


ーでないとお前は海の泡沫となって消えてしまうぞ。


しかし人魚姫は王子様を殺すことができませんでした。



それほどまでに王子様を愛してしまっていたのです。


そして人魚姫はとうとう海の泡となって消えてしまいました。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ