Another Side

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しまった…まだ起きてるかな…?


私は左近さんを探していた。

昼間、三成に渡すように言われた書状を渡すのをうっかり忘れてしまったのだ。

幸い、月は上っているものの、まだ夜遅くはなかった。


「なんか…夜の廊下って雰囲気あるな…」


歩く度に軋む廊下に、伸びる自分の影。

幽霊がダメな私は、一刻も早く自室に戻りたかった。

左近さんの部屋は確かこの辺だったはず…。

すると、話し声が聞こえる部屋があったので、試しに入ってみることにした。


「左近さんですかー?入りますよー?」


襖を開けると、私の目に飛び込んできたのは…

着物をはだけさせた美人の女中さんと、その上に覆い被さる左近さんだった。


「「「あ……」」」


いくら男経験の無い私にだってこれくらいはわかった。


「…失礼しました。」


そして、何事もなかったかのように襖を閉じた。

あれって…ああゆうことだよね…?

男と女の危険な関係…みたいな?

恋人なの?いや、でも…左近さん、この前は町娘ナンパしてなかったっけ?

もしかして…ワンナイトラブってやつですか!?


私は早足で自室に戻ると、やり場のない困惑した気持ちを枕にぶつけた。


「左近さんのバカーーーー!!
変態ぃぃぃぃいいい!!」


枕に叫んだから近所迷惑ではなかったはず…


「夜なのにうるさいぞ!」


あ、お隣さんから苦情きた。


「あ、三成…ごめん。」


三成も男だよね…。

左近さんと同じ、男だよね!?


「何故俺を軽蔑した目で見る?」


「いや…なんでもないっす。」


私ってやっぱり子供なのね…とほほ。


「俺はお前に蔑まれるようなことしていないのだが…」


まあ、そうだよね。

男と言ってもひとくくりじゃないもんね。

でも…私には刺激が強過ぎた。

まだ私の脳内は思春期なの!


「聞いてよ…。左近さんが女中さんを押し倒してるところに遭遇しちゃった…」


私の中で、優しくて紳士な左近さんが、ヤリ〇ン変態な左近さんに変わった。


「お前はまだまだ子供だな。」


「そうです。どうせ子供ですよーだ!」


大人の世界はわかりませ〜ん。


「男なんて知らないし…。
左近さんがあんなことしてるなんてっ!」


「男なんて所詮そんなもんだ。」


「えっ…三成も…!?」


えっ、私、ドン引きなんですけどっ!

女をそんないやらしい目で見てたの!?
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