Another Side

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目が覚めると、朝焼けが見えた。

朝焼けが見れるほど早起きしたのは中学校の修学旅行以来かも。


「あっ…私、左近さんに膝枕してもらっちゃった…
左近さん、ごめん!」


私はあぐらをかいて寝ている左近さんにこっそり謝った。

まだ朝早いのに、もう女中達は働いていた。

私も手伝おうかな?


「あのっ…私にも手伝わせてください!」


私はそこにいた女中さんに声をかけた。

すると、その女中さんは驚いたように目を見開いた。


「いけません、美桜様!
豊臣の姫でもあろうお方が私たち女中の手伝いなんて…!
まだ朝早いですし、ごゆっくりなさってください!」

え、姫?私が!?


「嫌です!私もやりたいです!
ほ、ほら…花嫁修行も兼ねて…」


「何をおっしゃってるのですか?
嫁ぎ先でも、このようなことはする必要ありませんよ?」


なぜか私は姫で通っているらしい…

マジかよ…お上品になんてなれないけど?

結局手伝わせてもらえなかった。

うーん、暇だなぁ…

何をするわけでもないけど、なんとなく中庭に出てみた。

すると、清正が鎌みたいな武器の素振りをしていた。


「何見てんだよ。」


「あ、バレてた?おはよ、邪魔してごめん」


「はよ。別に平気だ」


「ねえ、ちょっとだけ持たせてよ!
だめ?お願い!」


「いいけど、ケガするなよ?」


「うん、ありがとう!…って、重!!」


持ってみてびっくりした。

こんな重い物をあんなに軽々振り回してたんだ…

やっぱり現代っ子と戦国武将じゃ体の作りが違うのか…

清正って筋肉ヤバいし…!


「す、すごいね…
こんなに、重いなんてっ…」


腕がおかしくなる前に清正に返した。


「お前が力が無さすぎるんだよ。
すぐ折れそうだな…」


「そう簡単には折れないって!
あ〜、久しぶりに剣道やりたくなってきた〜!」


「お前、なんかやってたのか?」


「うん、ちょっとだけ…
真剣は持ったこと無いけどね!」


「後で俺が相手してやろうか?」


「いいの!?やりたい!
あ、でも最初はお手柔らかにお願いします」


「おう、わかった。」


楽しみだな〜

朝餉のあとに相手をしてくれるらしい。

そして、朝餉のあとに中庭に来てみた。


「来たか。ほら、これ。」


「ん、ありがとう」


清正に木刀を渡された。


「いいぞ。どこからでも来い!」


「とりゃああああ!」


久しぶりだからちょっと不安だったけど、思っていた以上に鈍っていなかった。
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