Another Side

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「うわぁ!!すっご〜!」


遂に来た、城下町!

現代では味わえないこの雰囲気。

この新鮮な感覚は私のテンションをあげまくる。


「美桜のところでは無かったのか?」


と清正が聞いてくる。


「似たようなのはあったけど、雰囲気が全然違うんだよね!
こんな活発な感じじゃなかった!
くぅぅ〜!テンション上がるわ〜!」


「てんしょんってなんだ?」


と聞いてきたのは正則。


「えっと…なんて言えばいいんだろ…
気持ちの上がり下がり、みたいな感じかな?」


「へぇー!よくわかんねえや!」


「今の説明で理解できぬとは…お前は救いようのない馬鹿だな」


「んだと頭でっかち!くっそぉ、みんなして俺を馬鹿って言いやがって!」


「まぁ、しょうがないよ…事実だし…」


「美桜までっ!
…いや、馬鹿でなにが悪い!馬鹿のほうが楽しいんだよ!」


一人で叫んでる正則はほっとこう。


「今日は何買うのっ??」


「お前の着物だ。」


「オッケー!私の着物ね…ってなんでやねん!」

三成は何言ってんだ!

思わずベタなノリ突っ込みしちゃったじゃん!


「おねね様が、いつまでも私のお古じゃかわいそうだと言っていた」


この着物、おねね様のだったんだ!


「私はこれで全然いいのに…」


「おねね様のご厚意を無駄にする気か?」


確かにそれは失礼かもしれない。


「そうだね…
でも、私…お礼がしたいの!
…ただ、お金なんて持ってないし…
ホント、情けない。」


「…それなら俺が仕事をやる。」


「?」


「そしたら自分で稼げるだろう?
その稼いだ金でお礼をしたらいい。」


「…三成!ありがとう!!」


三成は口は悪いけど本当は優しいんだね。


「フンッ、別に貴様の為ではない。
せいぜい俺の邪魔をしないようにするんだな。」


そう言って私にお金らしき物を渡してきた。


「今回は特別に前払いしてやる。
好きに使え。」


「いいんですか?
…あの、私…ここのお金の価値がどれくらいかわかりません…」


三成が急にとても偉い人に見えて、思わず敬語になってしまう。

三成は溜め息をつきながらも、分かりやすく教えてくれた。


「なるほど〜!
てか、あれ?清正と正則がいない…」


「あ…。あの馬鹿……!
まあいい。そのうち会うだろう。」


「いいの!?まあ、これだけ人がいれば探しようがないか…」

しばらく歩くと、さっきとは違った雰囲気の通りに来た。

なんというか…いかにもリッチな感じだ。


「三成、ここは…」


「ああ、いわゆる御用達というやつだ」


御用達!?私みたいな庶民が!!?

まあ、今は秀吉様達に実の娘のように良くしてもらってるけど…


「私、普通のとこでいい!」


「ダメだ。」


「私なんかに…お金がもったいない」


「こんなことで金に困るほど秀吉様は小さいお方ではないから大丈夫だ」


しぶしぶ呉服屋に入るけど、その雰囲気は庶民には息苦しい。

気品が良すぎるのだ。


「ようこそおこしいただきました、三成様!…失礼ですが、そちらの方は?」


「は、はじめまして、美桜です!」


「今、訳あってうちで預かっているのだ。
こいつは記憶喪失で、ここのこともよく分かってないのだよ。
だから無礼をはたらくかもしれないが大目に見てやってくれ。」


「わかりました。本日は如何なさいますか?」


「こいつに似合いそうなのを選んでくれ」


「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」


私は三成に耳打ちした。


「ウソがお上手で…」


「好きでウソをついたわけではない。
仕方ないだろう?」


「お待たせしました。
美桜様、こちらはどうでしょうか?」


女の人が持ってきてくれたのは、赤地に大きな花が咲き乱れている、派手だけど上品な着物だった。


「かわいい…!私、これがいい!」


「他にもございますが?」


いろいろ見たけど、やっぱりさっきのやつが一番良かった。
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