Another Side

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「君、もしかして未来から来た子?」


と、たしかにその男の子は言った。

もうそんなに知られてるの?

ちょっと危ないよね…。


「あ、そんなに警戒しなくていいよ〜。
俺は竹中半兵衛。君は?」


「えと…美桜です。」


竹中さんは私のことをガン見してきた。

ご飯粒でもついてたかな?恥ずかしい!

そう思い、顔をこすったら笑われた。


「別に何も付いてないよ〜!
かわいい子だな〜と思ってさ。」


「からかわないでくださいよ!
それに、竹中さんのほうがかわいいです。」


私をかわいいなんて、からかっているに違いない。


「男の俺にかわいいとは失礼な〜!
それと、名字で呼ばれるの違和感あるから名前で呼んでよね?」


「は、はい…わかりました。」


「あ、敬語もヤダな〜。距離感じちゃうでしょ?敬語も無しね?」

この人の笑顔はかわいいけど黒い。有無を言わせないかんじだ。


「わ、わかったよ!」


満足そうにニコニコ笑う半兵衛はやっぱりかわいい。

女顔負けだわ。


「ねえ美桜、男はかわいいって言われてもうれしくないんだよ?」


「ご、ごめん!でもさぁ、本当にかわいいんだもん、半兵衛。」


「もう〜!かわいい子にかわいいって言われちゃおしまいだね…」


半兵衛は人懐っこい顔をムッとさせて睨んでくる。


「ごめんってば〜!」


「どうしようかな〜。俺、傷ついたもん。」


「ホントごめんね?何でもするから許して!」


そう言うと半兵衛は一瞬ニヤリと笑うとこう言った。


「そうだなぁ〜。俺んとこに嫁に来てくれるならいいよ?」


うん、嫁ねぇ〜。

…は?今なんつった?


「な、なにをおっしゃりますか!?
そそそそそんな、いきなり!」


「ぶっ、冗談だよ〜!あははっ、ホントおもしろいね!!
俺、美桜のこと気にいっちゃった〜!」


「も、もう!!からかわないでってば!」


「それじゃあ真面目に。
俺のお嫁さんになってよ」


「だから、それは…」


「ねえ、お願い!なんでもしてくれるんでしょ?
美桜みたいな人がお嫁さんなら、毎日楽しめそうだからさ〜!」


why?どうして私にこだわるの?


「いや、まだ私16才だし…結婚なんて早いよ!」


「早い?ちょうどいいじゃん!ね?
寝て暮らせるようにしてあげるから!」


「いくらなんでも無理だし!
てか、別に寝て暮らせなくてもいいけど…」


「美桜はウソつきだね…。
俺、もう癒えることのない傷を心に負ってしまったよ…」


悲しみに暮れた目で見つめられ、心が揺れるがダメだ!

結婚はこんな簡単にするもんじゃない!


「ごめんね半兵衛〜!」


私はそう言うとダッシュでその場から逃げた。

深入りは面倒だし、半兵衛に口喧嘩で勝てる気もしない。

なら、逃げるが勝ちだ。

私は運動神経はいい方だった。あくまで現代では、だけどね。

走っていると誰かに思いっきりぶつかった。


「ごぶっ!!ご、ごめんなさ…!?」


謝ろうとしたら、口を抑えこまれ、そのままそこにあった一室に入れられた。

ちょ…ヤバくね?
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