隠恋慕

□03
1ページ/3ページ




「どうしてテメェらがいるんだ?」


「月咲…誰?
小太郎の足に座ってる子…」


「いや、あの…ご無沙汰です。」


「ご無沙汰だぁ?テメェら出てったの昨日だろが!」


聞いた話によると、ここと向こうでは8年の時差があるらしい。


「で、誰だ?その小僧は」


「我と月咲の子だ」


「薄々気づいてたけど、本当に!?」


「…はぁ…。昨日出てった奴らがガキつれて帰ってくるとはな…」


凛太郎は暇だったのだろう。
私の髪をいじって遊んでいた。


「ほら、りんた!挨拶は?」


「…凛太郎です。」


「へぇ〜風魔凛太郎くんかぁ〜」


「お姉ちゃん、違うよ!りんた、ふーまじゃない!」


「へ、違うの!?」


「戸籍の問題で結婚はしてないからね…」


「にしても、こいつぁお前らそっくりだな」


「うんうん!
髪の色と彫りの深さは小太郎譲りで、
目元とか口は月咲譲りだね!
こりゃ将来有望だわ!」


「まっこと可愛い子犬だろう?」


すると、凛太郎は小太郎を睨む。


「りんたは子犬じゃない!小太郎の馬鹿!」


そうやって唇をとがらせても可愛いだけということを凛太郎はまだ知らない。


「かわいい!
てか、小太郎のこと父上って呼ばないの?」


「なんか、癪に障るらしいよ。
私のことはママって呼んでくれるけどね〜♪
あ、ママっていうのは向こうでの母親の呼び方!」


「にしても、風魔に子供がいるとは…」


「クク、月咲に似て愛らしい…」


小太郎は柔らかく笑った。


「小太郎…あんた、性格変えた?病?
なんなら医者呼ぶ?」


「我は病ではない…」


まあ、甲斐がそう思うのも無理はない。

なんてったって、彼女にとって昨日まではあの人間離れした風魔小太郎だったんだから。

それに、小太郎の顔は私と凛太郎を見ながらだらしなく緩んでいる。

何よりも怖いことかもしれない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ