隠恋慕

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「ママ!どっか遊びに行きたいっ!」


そうやってキラキラとした瞳でこちらを見つめるのは、息子の凛太郎。


「う〜ん、暑いもんね。川遊びする?」


「川?行きたい!川遊びするっ!」


「小太郎、朝だよ?起きて〜!」


「月咲がチューしてくれたら起きる」


こっちの世界に戻ってきてから小太郎は甘えん坊になった。

こうやって、とっくに起きてるくせにキスをせがんでくる。

いや、凛太郎見てるし。


「もう、自分で起きられないなら小太郎だけ置いていっちゃうからね!」


「クク、照れるとは月咲にも可愛いところがあったのだな」


「照れてるとか、そういうんじゃないからね?
子供見てるからね??」


「りんた、うぬはまた我の邪魔をするのか?」


こりゃ、ダメな父親だ。


「こたこそ、りんたとママの邪魔しないでよぉ!」


「りんたは悪い子だな。我が躾してやろう」


「や、ヤダ!ママ、助けっ!キャハハハハハ!」


躾という名のくすぐりの刑。

小太郎、大人気ないなあ。

まあ、これが二人の遊びだからいいけどね!


「こた、あんまりりんたをいじめちゃだめだよ?
りんたも、“こた”じゃなくてパパでしょ?」


「「は〜い」」


凛太郎は、小太郎のことを名前で呼ぶ。

あんまり父親らしくないところとか、凛太郎から私を取るところが気に食わないらしい。
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