隠恋慕
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「えええええええええええ!?」
小田原城中に月咲の声が響き渡った。
「あんたが部屋から出ると厄介だからね!」
「いや、大人しくしますからあ!!
甲斐姫様ぁ!お願いしますぅ!!」
「ダメったらダメ!
私が御館様に怒られるんだから」
突然言い渡された外出禁止令。
せっかく城下へ行ってみようと思ってたのに…。
部屋の外には見張りまでついている。
「本でもよんでなよ」
大量の本を渡されたが、この時代の文字なんて読めるわけがない。
「暇だあー…。」
たまたまトリップする際に持っていたスクバに入ってたドラ×ンボールだって何回読んだかわからない。
あ、いいこと思いついた!
誰も見てないしいいよね?
この時の私は、外に声が漏れているなんて想像もしていなかった。
「かぁ〜めぇ〜はぁ〜めぇ〜…波あああああああ!!!
うーん、ちょっと腕の角度が違ったかな〜。
もう一回、かぁ〜めぇ〜…」
「うぬは一人で何をしている?」
「!!!!!」
背後から突如聞こえてきた声に、これでもかってくらいビビった後、見られていた恥ずかしさによって顔が熱くなるのがわかった。
「な…いつから見てたのさ!!」
「あ、いいこと思いついた!誰も見てないしいいよね?というところからだ」
「最初からじゃん!!!恥ずかしい死にたい。
てか、それ声に出してなかったからね!?」
「クク…うぬは青くなったり赤くなったり、忙しい奴よ。
我を飽きさせぬ。」
「……。」
別にあんたを楽しませようとは思ってないけどね!という突っ込みは心の中に留めておいた。
こいつにはかないそうにない。
んだコノヤロー、余裕たっぷりに笑いやがって!
「ねぇコタロー、暇だからつきあってよ」
「なんだ?面倒事は御免被るが」
「あんたってすごい忍なんでしょ?
誰にも気付かれないようにこの部屋を脱出ってできる?」
「それくらい、忍なら余裕だ。」
それを聞いた私はほくそ笑んだ。