隠恋慕

□03
1ページ/5ページ




「えええええええええええ!?」


小田原城中に月咲の声が響き渡った。


「あんたが部屋から出ると厄介だからね!」


「いや、大人しくしますからあ!!
甲斐姫様ぁ!お願いしますぅ!!」


「ダメったらダメ!
私が御館様に怒られるんだから」


突然言い渡された外出禁止令。

せっかく城下へ行ってみようと思ってたのに…。

部屋の外には見張りまでついている。


「本でもよんでなよ」


大量の本を渡されたが、この時代の文字なんて読めるわけがない。


「暇だあー…。」


たまたまトリップする際に持っていたスクバに入ってたドラ×ンボールだって何回読んだかわからない。

あ、いいこと思いついた!

誰も見てないしいいよね?

この時の私は、外に声が漏れているなんて想像もしていなかった。


「かぁ〜めぇ〜はぁ〜めぇ〜…波あああああああ!!!
うーん、ちょっと腕の角度が違ったかな〜。
もう一回、かぁ〜めぇ〜…」


「うぬは一人で何をしている?」


「!!!!!」


背後から突如聞こえてきた声に、これでもかってくらいビビった後、見られていた恥ずかしさによって顔が熱くなるのがわかった。


「な…いつから見てたのさ!!」


「あ、いいこと思いついた!誰も見てないしいいよね?というところからだ」


「最初からじゃん!!!恥ずかしい死にたい。
てか、それ声に出してなかったからね!?」


「クク…うぬは青くなったり赤くなったり、忙しい奴よ。
我を飽きさせぬ。」


「……。」


別にあんたを楽しませようとは思ってないけどね!という突っ込みは心の中に留めておいた。

こいつにはかないそうにない。

んだコノヤロー、余裕たっぷりに笑いやがって!


「ねぇコタロー、暇だからつきあってよ」


「なんだ?面倒事は御免被るが」


「あんたってすごい忍なんでしょ?
誰にも気付かれないようにこの部屋を脱出ってできる?」


「それくらい、忍なら余裕だ。」


それを聞いた私はほくそ笑んだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ