僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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今日から僕は高校生になる。

家から離れた有名私立高校に通うため僕はこれから寮生活だ。

まあ、普通に公立高校でも良かったんだけど、幼馴染のライナーやアニが行くって言うからなんとなくここに決めたんだ。

案内された通りの教室に入り自分の席を探す。

一番後ろの真ん中という良くも悪くもない席だった。

周りを見ると、みんな皺一つない新しい制服に身を包み、緊張した面持ちで席に座っていた。


「君が私のお隣さん?」


少し高めの透き通った声が僕の耳に届いた。

僕は、みんなが緊張してるっていうのに変わった子だなぁ、と心の中でつっこみをいれた。


「お〜い、無視するなよ〜」


誰だよ、返事くらいしてあげなよ。


「君だよ、君!そこの背の高い男の子!」


「え、僕?」


驚いて振り向くとその姿に目を奪われた。

白銀の髪、大きなグリーンの瞳、雪のような白い肌。

確かに可愛いという理由もあったけど、僕はなぜかその女の子から目が離せなくなった。

初対面のはずなのに、どこか懐かしい感じがする。

するとその女の子も僕の顔をじーっと見つめた後、おもむろに口を開いた。


「あの…私たち、前にどこかで会ったことあるっけ?」


「僕も一瞬そう思ったけど初対面だと思うよ」


「そうだよね…。
おかしいな、なんか懐かしい感じがする」


その子も同じことを思っていたらしい。


「君はなんでこの学校にしようと思ったの?」


「幼馴染がここにするって行ってたからだよ。君は?」


「私は母親から離れたかったから!
この学校、寮があるでしょ?
というか、ホント背高いね。
5cmくらい分けてよ」


「できることなら分けてあげたいけど無理だよね?」


このやりとり、前にもした気がするのは気のせいだろうか。

何か引っかかるのに思い出せない。


「ねえ、私、忘れちゃいけない大切な何かを忘れてる気がするんだよね…。
あ、聞き忘れてたけど君の名前は?」


「僕はベルトルト・フーバーだよ」


「ベルトルト…フーバー……」


彼女はしばらく考えた後、その大きな目をさらに大きくして僕の名前を呼んだ。


「ベルトルト・フーバー…ベルトルト・フーバー……!!」


そして次第にその瞳に涙が溜まっていった。


「ベルトルト…ッ!思い出したよっ!」


ついに涙を溢れさせながらも笑顔で彼女はこういった。


「ベルトルト…見つけてくれて、ありがとう。

私…セーラ・リドナーだよ…!」


セーラ・リドナー…


「!!」


僕は思い出した。


何があっても僕のそばにいたいといってくれた一人の女の子を。

僕を愛してくれたたった一人の女の子と交わした約束を。


「セーラ…!!
遅くなったけど、また会えたね…!」


僕たちは人目も気にせず、泣きながら抱き合った。


「ベルトルト、約束守ってね…!
おじいちゃんおばあちゃんになるまでずっと離さないでね…!!」


「もう離さないよ…!
今度こそ、セーラを幸せにしてみせるよ」


僕は今までにないくらい心からの笑顔で言った。


「愛してるよ、セーラ」



僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。 完


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