僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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私たちが気付いた頃にはもう既にたくさんの巨人に囲まれてしまっていた。

しかも私たちは何の装備もしていなかったため、そこら辺にあった物で応戦するしかなかったのだ。


「コニー、ナイフ貸してくれ」


ユミルは一体何をしようというのか。

そんな小さなナイフでは何もできっこないというのに。


「これは私の願望なんだが、お前、胸張って生きろよ」


ユミルはクリスタに向かってそう言うと塔から飛び降りた。

するといきなり閃光を発し巨人と化したのだ。


「!?」


ベルトルト達やエレン以外にも巨人化できる人がいたなんて。

ベルトルトやライナーを見ると、二人もユミルが巨人化できることを知らなかったらしい。

二人は驚きと恐怖を隠せていなかった。


その後調査兵団が駆けつけ、私たちは事なきを得た。

…先輩方は全員亡くなったけど。


「セーラ、怪我は無かった?」


「大丈夫だよ。ライナーも、もう治ったんでしょ?」


どうやらこれから実行するらしい。

これでみんなの顔を見るのは最後だ。

私はいままでありがとうと心の中で呟いた。


「お前ら疲れてるんだよ」


エレンの声が聞こえた。

二人はエレンと話していた。


そこへ殺気を漂わせながら近づく者が一人。


(ミカサだ…!!)


二人は巨人化できて最強だけど、無敵なわけではなかった。


「ベルトルトッ!!」


直感でやばいと思った私はベルトルトを突き飛ばした。


「セーラ!?」


鋭い痛みが私を襲う。

ミカサのブレードは私の腹を深く貫いていた。


「セーラ!どうして!!」


ミカサが私に疑問をぶつけた。


「ミカサだって…エレンが壁を壊そうとしていたらついて行くでしょ?」


「……」


ミカサは黙ってしまった。


「どうして…セーラ…!
僕なんか庇わなくて良かったのに…!!」


「だめだよ、ベルトルトは故郷に帰らなきゃいけない。
こんなとこで死ぬわけにはいけないでしょ?」


ベルトルトとライナーは巨人化した。


血が減りすぎたのか、頭がボーっとする。

結局、何がどうなっているのか良くわからないまま、体が冷えていくのを感じていた。


「セーラ、寝たらダメだよ!
わかる?僕だよ、ベルトルトだよ!」


「ん…わかるよ…」


声が掠れた。


私の隣にはエレンとユミルが寝ていた。

ここはどこかの木の上らしかった。


「ベルトルト…私、多分もう死ぬよ…」


「そんなこといわないでよ…!」


「セーラ、すまなかった。
俺達のせいで…」


「ライナー、謝らないでよね。
ベルトルト、私、ベルトルトと出会えて幸せだったよ…」


冷え切った身体がベルトルトの匂いと体温に包まれる。

ベルトルトの瞳から落ちる雫が私の頬を濡らした。


「僕も、僕も…セーラと出会えて幸せだったよ…!」


その言葉を聞けて嬉しかった。


「ああ、死にたくないな…
私、ベルトルトのことを忘れてしまうのが怖いよ…!
忘れたくないよ……離れたくない!」


視界が霞んだ。

最近になってようやく自覚できるようになった泣いているという感覚。

この感覚もきっと忘れてしまうんだ。


「セーラのことは、僕が絶対忘れないよ。
僕がずっと覚えてるから…
僕が、セーラが生きてたっていう証人になるよ」


「じゃあ、約束して…?
生まれ変わってもまた私に会いに来て…
それで、しわくちゃになるまでずっといっしょにいて…?」


「うん、約束するよ…!!」


「良かった…ねえ、最後に笑顔見せて」


そう言うとベルトルトは目に涙を溜めながらぎこちなく笑ってくれた。


「ありがとう…
私もきっと忘れないから…!」


私はベルトルトの顔を引き寄せ、触れるだけの長い長いキスをした。

忘れてしまわないような長いキスを。


「大好きだよ、ベルトルト…

……またね。」


私が最後に見たのはこれまでにないくらい下手くそなベルトルトの作り笑いだった。

生まれ変わったら、心からの笑顔を見せてくれるかな?

私、いつまでも待ってるからね。


好きな人の腕の中で最期を迎えることが出来た
私は幸せ者でした。



↓あとがき↓


長くなりました。

対巨人シーンの大雑把さ加減が半端無いです。

しかもヒロインがメッチャ普通の乙女になってる!

最初の変人加減はどうした!?


まあ、あと少し続くのでよろしくお願いします。

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