僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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「俺らに話って何だ?」


「何か悩みでもあるの?」


「まあ、とりあえず座ろうか」


私はその辺にあった木箱に腰掛けた。


「うん、悩んでるね。二人のことで」


「?」


「私、きっとベルトルトがいなくなったら死んじゃうよ」


私は珍しく慎重に言葉を選びながら話した。


「うん」


「前にベルトルトが言った『仮に僕が巨人だったら?』っていう言葉についてずっと考えてた」


そこまで言うと二人は話の内容を察したらしい。

二人の視線が鋭くなった。


「セーラは何が言いたいの?」


「私がその言葉について考えた結論を聞いて欲しい」


「……」


「もし仮にベルトルトが巨人だったとしたら…
私も一緒に人類を裏切ろう」


二人の表情はほとんど変わらない。

だけど、少なからず驚いているようだった。


「私にはその覚悟があるつもりだよ。
でも、これはあくまでも仮になんだよ」


言いたいことわかる?と問えば沈黙が訪れた。


「単刀直入に言おう。
私は二人がアニと同様、巨人化できるんじゃないかと思っている」


そこでようやくライナーが口を開いた。


「何を根拠に言っているんだ?」


「まず、ベルトルトにされた質問。
それから超大型巨人がベルトルトに似ていたこと。
そしてその話をしたときに異様なほど殺気が滾っていたこと。
アニと同郷であるということ。
さっきコニーの話をそらそうと必死だったことよ」


「セーラ、人類を裏切る覚悟があるというのは本当なの?」


「本当よ。
だから、もし二人が巨人なら私も連れて行って欲しい。
それが無理ならベルトルトの手で殺して欲しい」


すると二人が目を合わせたと思うと、ベルトルトがゆっくりと口を開いた。


「……そうだよ、僕達は巨人だ。
でも、君はそれでいいの?
君に得はないんだよ?」


「ううん、得だらけよ。
ベルトルトといられるじゃない。
もしくは大好きな人に殺される。
巨人に食べられて死ぬより全然マシだわ。
それに、ベルトルトがいないなら生きることに意義はないと思ってるから…

それくらい好きだよ、ベルトルト…

だから、お願い。

私が存在していたってことを忘れないで…」


世界を敵に回しても、殺されてもいい。


私という一人の人間があなたを愛していたことを忘れないで。

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