僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。
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今日はなぜか私服で待機させられている。
みんな暇そうだった。
「セーラ、お前そんなにベルトルさんばっか見つめてて飽きないのか?」
思わず隣から聞こえてくるセーラと自分の名前に反応してしまった。
「飽きるわけないじゃん。
ユミルだってクリスタならいくらだって見てられるでしょ?」
「まあな。
でも、ベルトルさんのどこがそんなに好きなんだよ?」
ごくり、と唾を飲んだ。
セーラは一体なんと答えるのだろうか。
いろいろな期待を抱いた。
「うーん、見た目。」
「あとは?」
「それだけだよ」
「えっ!?」
これにはちょっと、いや、かなりショックだ。
「あ、冗談ね」
「焦った…僕、泣きそうだったよ…」
「おいセーラ、彼氏泣かせてんじゃねぇぞ。
で、実際はどうなんだ?」
「えー、恥ずかしいから言わない」
「言ったらベルトルさんがちゅーしてくれるってよ」
「えっと、背が高くて優しくて頼りになってかっこよくて可愛くて…」
「セーラうるせぇよ!惚気やがってうらやましい!」
ジャンがついに怒鳴った。
僕も聞きたいとは思っていたけど、実際に聞くとかなり照れるからそろそろつっこみを入れようかと思っていたところだった。
でもセーラは負けなかった。
「でかい声だすな!邪魔したら馬小屋に放り込んじゃうぞ☆」
可愛い顔して怖いことを言うセーラに、その場にいた全員が冷や汗を流した。
もちろん僕もだ。
「よし、言ったから約束どおりちゅ―して?」
「えっ、いやここではちょっと…」
「えぇ〜!?約束と違うよ〜!」
拗ねるように唇を突き出すセーラはすごく可愛かった。
だから僕はおでこにそっとキスをした。
「エレンは見ちゃダメ」
ミカサがエレンの目を手で覆っていた。
自分でしろと言っていたくせにセーラは真っ赤になっていた。
「ま、まあ、これで許してあげるけど」
「照れてるセーラ、可愛いよ」
「だからお前らよそでやれって!!」
こんなほのぼのとした時間もつかの間。
サシャの「足音みたいな地鳴りが聞こえます」という声によってそれは終わりを告げた。