僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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女型の巨人の正体はアニかもしれない。


そんな噂を聞いた。

私はアニが巨人だとまったく疑っていなかった。

だからとても驚いた。

でもそれならちょっとわかってきたかもしれない。

ベルトルトとアニとライナーは同郷出身だって言ってた。

そうするとベルトルトとライナーが巨人化できてもおかしくない。


周りの人達は裏切りだ何だと騒いでいるけど私はそんなことどうでもいい。

ベルトルトはベルトルトに変わりないから。


アニが裏切り者呼ばわれされている時、ベルトルトは決まって悲痛な顔をする。

仲間のアニが悪く言われているから?

それとも自分が言われているように感じてしまうから?

どちらにしても、こんな顔のベルトルトは見たくなかった。


「ベルトルト…」


私はベルトルトと付き合い始めてから普通に名前で呼んでいた。

二人きりでいられる時間は貴重だった。


「ん?どうしたの?」


「…それはこっちのセリフだから」


私はベルトルトの腕を引っ張り屈ませた。

そしてそのふわふわな髪を撫でた。


「えっ、セーラ?」


明らかに動揺して赤くなるベルトルトは可愛い。


「前に、もしも自分が巨人だったらどうする?って聞いたでしょ?」


今度は強張って青くなるベルトルト。


「私は…それでもベルトルトが大好きだよ」


そういってベルトルトの腰に抱きつくと、上から雫が降ってきた。

見上げると、その雫はベルトルトの黒い瞳から零れ落ちていた。


「っありが、と…!
僕も、セーラが大好きだよ…!」


「大丈夫、例えばの話だから。
それくらい好きよ」


私は初めて自分から口付けた。

唇を押し当てたそこは涙の味がした。


「僕、彼女の前で泣くなんて格好悪いね」


「涙を流せるベルトルトはとっても優しいんだよ。
あのね、私の全てはベルトルトのものだよ」


そして私たちは肌を重ねた。

その時ベルトルトはずっと私への愛と名前をうわ言のように囁いていた。

そんなベルトルトが愛しくてたまらない。


このまま時が止まってしまえばいいのに…柄にもなくそんなことを思った。



(あれ…最近ヒロインが普通の子になってきてる。)

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