僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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キスされている最中に思ったことがある。


私のベルトルトに対する思いは一言じゃ表せないくらい複雑なんだと思ってた。

だけど、この感情に名前をつけるなら…『好き』


なんだ、簡単じゃん。

私はベルトルトが好きで、恋してるんだ。


「どうやら私、ベルトルトのことが好きみたい」


ベルトルトの瞳を真っ直ぐ見つめてそう伝えると、ベルトルトの顔は赤く染まった。


「そ、それ、本気で言ってるの?
からかってるとかじゃなくて?」


「私は割と嘘はつかないほうだよ」


「っ!!
ぼ、僕もセーラのことが好きだよ!
だから、もし良かったら…僕と付き合ってくれないかな?」


「よろこんで!
へへ、これでちゃんと恋人って関係になれたね!」


単純に嬉しかった。

まあ、好きな人に好きだといわれて嬉しくない人はいないだろうけど。

だけど、心のどこかで素直に喜べない自分がいた。


「ねえ、手ぇ繋いでもいい?」


ベルトルトが照れくさそうに聞いてきた。

もちろんダメなはずがない。


「いいよ。
でも、離さないでね?」


「うん、離さないよ」


ベルトルトは気付いているだろうか。

私がこの言葉に込めた意味に。


―――貴方が世界を裏切るその時がきたら、私も連れて行ってね―



明日から私たちは正式に調査兵団に入ることになる。

つまりそれはアニとの別れを意味した。

私は基本不特定多数の人と絡んでいた。

でもアニは特に仲が良かった。


最初は厄介払いされていたけど、次第に話を聞いてくれるようになった。

今でも口数は少ないけど、私はアニが大好きだ。


「アニがいないと寂しい」


「あんたにはベルトルトがいるだろう?」


「うっ…そうだけど…
アニ…死ぬなよ…!」


「馬鹿、それはこっちのセリフだよ。
それに、永遠の別れってわけでもないんだから」


「そうだね。頑張って!」


「セーラも…頑張りな」


まさかこれが本当に最後の会話になるとは思いもしなかった。

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