僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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“あなたの見ている世界を私にも見させて、ベルトルト…”


そう言うと、私の頬にベルトルトの大きな手が添えられた。

顔が…近い。


「ズルいよ、セーラ…
こんな時だけ名前で呼ぶなんて…」


「だって私、聞いたことがあるわ。
約束事はちゃんとした名前じゃないといけないって」


本当は今までも覚えてたのよ、という意味も含めて私はわざとらしく笑った。


「ねえ…キス、してもいい?」


そう言って私の唇を指でなぞるベルトルトは普段とは違って男の顔をしていた。


「そういうのって普通聞かないでするものよ」


「じゃあいいんだ?」


そう囁かれて私は思わず目を瞑ってしまった。

すると唇に感じる柔らかくて少しガサついた感触。


「っはぁ…何よ、結局答える前にしてるじゃない」


触れるだけの長いキスの後、私は嫌みったらしく言った。


「普通は言わないでするもんなんでしょ?」


そして再び重なる唇。

しかし今度はさっきとは違うキスだった。

ざらりとした舌が入り込んできて、歯列をなぞられ舌が絡めとられる。


「…セーラ…」


呼吸をするために離れた時にまで私の名前を呼んでくれたのが嬉しくて私も彼の名前を呼んだ。


「ベルトルト…」


再び私の唇を堪能するようなキスをされる。

麻酔にかかったような甘い痺れに私は座りこんでしまった。


「…っはぁ…も、無理…立ってられないよ…」


「あ、ごめんね。僕につかまってなよ」


私はベルトルトの首に手を回され、腰は彼の手によって支えられているため座ることはできなかった。

背が高いから疲れた…そう思っているとようやく解放された。

お互いが繋がっていたそこからは、その証なのか銀色の糸が垂れた。

それを目で確認すると、今していたことを思い出して顔が熱くなった。


「…あ、ごめん、いきなり…」


「いや、いいよ。
誓いのキス…なんつって!」


ベルトルトが申し訳無さそうにするから思わず寒いことを言ってしまった。

それにしても唇がヒリヒリするなぁ。

そのまましばらく談笑してると訓練を終えたライナーが迎えに来た。


「お前ら二人して何してたんだよ!
セーラがサボるのはわかるけど、お前まで!」


なんか怒られた。

あ、私がライナーからベルトルトをとったから嫉妬してんのかな?

ライナー、ベルトルトのこと大好きだもんね。


あれ?そういえば、どうして私達はキスしたんだろう。


恋人同士なんかじゃないのに…

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