僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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「セーラはどこにするの?
やっぱり憲兵団?」


ある昼下がり。

僕とセーラは訓練をサボってこの前の屋上で話していた。

僕がサボるのは珍しいと思う。

でもなんとなくセーラと話がしたかった。


「ううん、私は調査兵団だよ」


「えっ!?」


てっきりセーラは憲兵団だと思っていた。

成績も上位だし、何より、心臓を捧げる気はさらさらないと言っていたからだ。


「あんなところ、死んでも行きたくないね。」


「どうしてそう思うんだい?」


きっと腐ってるから、とかそういう理由だろうと思っていた。

けど彼女の答えは違った。


「あそこは母親に勧められたからよ。
だから絶対に行かないわ!
クソくらえって感じよ」


意外な理由だった。


「あいつは私を家から追い出すかのように訓練兵団に入れたのよ。
男とニャンコラするのに邪魔だったから」


彼女の言う話は酷いものだった。


あいつは母親なんかじゃなくてただの醜い女。

男と金のためなら自分の娘を平気で捨てるような奴よ。

憲兵団に入るように言ったのは、私の身の安全を思ったからじゃなくて、周りの評判を気にして言ったの。

だから私は調査兵団に行く!

もう二度と奴の言いなりにはなってやるもんか!


「私、ひねくれてるからわざと死に近づくの。
エレンみたいに巨人を駆逐するためでも、ミカサみたいに誰かを守るためでもない。
自分のためよ!
それに…死が近くにあるほうが生きてるって実感が湧くから。
私、おかしいでしょ?」


「君がおかしいのは今に始まったことじゃないよ。
僕の方こそおかしいよ。
何一つ、自分の意思で決めたことがないからね」


僕は何かのリミッターが外れたかのように話し始めた。


「ねえ、セーラ。
僕と一緒に故郷に来てくれないか?」


「故郷?別にかまわないけど」


「本当に?約束してくれる?」


「いいよ、約束する」


「じゃあ、もしも僕が人類の敵だったらどうする?」


「人類の敵であるか否かはどうでもいい。
人類なんて興味ないわ。
それよりも、条件がある」


「条件?」


「そう、条件よ」


そして彼女は僕の耳元で囁いた。


“あなたの見ている世界を私にも見させて、ベルトルト…”

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