僕と彼女の奇妙な関係に終止符を。

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「ねえ、アニ!聞きたいことがある!
恋するとどんな気分になるの?」


「は?いきなりどうしたの?」


アニは明らかに動揺している。

だってすごく顔が怖い。


「私には程遠いことだから興味が沸いたのよ。
アニならわかると思って」


「なんで私がわかるんだ?」


「だってエレンのこと好きそうだから」


「違う。私は恋愛に現を抜かしてられるほど暇じゃないの」


「ふぅん…つまんないの」


でも、私もひとつ知ってることがある。

ミーナに教えてもらったの。


「アニ、ひとつ教えてあげる。
恋ってお金じゃ買えないんだって〜」


まあ、仮にお金で買えたとしても私はお金が無いから買えないけどね。

いや…お金で買えるなら、お金を貯める方法くらいは考えるかもしれない。


「恋…かぁ。私もしてみたいなぁ」


でも私には恋する相手がいない。

なぜなら、いつもベルトルトといるから男の人と関わる機会が少ないからだ。

ん…?ベルトルトも男の人だよね、確か…

なんだ近くにいるじゃん。

でもこれはまだ恋とは言えない。

私はまだ恋を知らない。


「ねえねえ、ベルリンは今恋してますか?」


夕食の時、私はベルトルトに聞いてみた。


「ブッ!…いきなりどうしたの?」


「私ね、恋をしてみたいの。
だから、恋してる人からアドバイスが欲しいな〜と思って!」


するとベルトルトは眉を八の字に下げて言った。


「セーラ、それ、わざと言ってるの?」


「わざとって、何が?
私は気になったから聞いただけだよ」


隣でライナーが「無自覚かよ」と呟いたのを私は聞き逃さなかった。


「ライナー、それはどういう意味?
私にはわからない。教えて欲しい」


「ラ、ライナー!言ったらダメだよ!」


「そ、それはちょっと言えないな…」


「私には言えないようなことなんだ。
なら私も口出せないわ。
所詮私達は他人なのだから」


「い、いや、そう言う意味で言ったわけじゃないぞ!」


「じゃあどういう意味?
私ははっきり言ってもらわないと理解できない」


「セーラも、どうしても言えないことだってあるでしょ?
これ以上ライナーを困らせないであげて」


ベルトルトがそう言うから、私はそれ以上何も言えなかった。

そうだ、私達は所詮他人。

どうせ訓練兵を卒業したら離ればなれになる。

お互い、いつ死ぬのかわからない。

そんなこと最初からわかってる。

なのに、なんでかな?

どうしようもなく胸の奥がズキズキする。

苦しい。

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