私立戦国高等学校

□09
1ページ/2ページ



清正に助けられた日の帰り道。

私はとんでもないことを口走ってしまった。


「清正、今日は、その…
助けてくれてありがとう…!」


「別に大したことじゃない。
まぁアレだ。お前が無事ならそれでいい、みたいな感じだ。」


そんなこと、言わないでよ…

変に期待させないで。

あなたが私をただの幼なじみとしか思ってないのはわかる。


「もうすぐ春休み…ってことはクラス替え!?」


「ああ、そうだな」


クラス替えって…清正と絶対離れるじゃん…。

私が清正に話し掛ける機会もなくなる。

私の知らない清正になってしまう。

誰に向いているかもわからない嫉妬。

こんな汚い感情を持っている自分が嫌になる。

私はただ清正の側に居られたらそれでいいのに…


「お前、何で泣きそうな顔してんだよ?」


自分でもよくわかる、泣きそうな感覚。

少しでもまばたきをしたら涙がこぼれそうなあの感覚。


「泣きそうじゃ…ない。」


「まさか、俺とクラスが離れるのか寂しいとか?」


冗談っぽく言ってくるけど事実だから笑えない。

今までずっと同じクラスだったから今度こそ違うクラスになるだろう。

そんなの…嫌だ。

私の知らない清正を他の誰かは知ってるなんて嫌だよ…

そう伝えられるほどの勇気は持ち合わせていない。


「図星かよ。
んだよ、泣くほどのことじゃないだろ。
俺が毎日会いに行ってやる」


でもそれは清正に彼女ができるまでの話。

彼女ができたら私なんか置いていかれちゃうんだろうな…

それが当たり前だもん。

やっぱり私は清正に甘えすぎだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ